01「燃える」はこちら。
わたしたちは天才が大好きだ。そして名探偵も。なぜなら、その称号を与えた途端に、彼らの人間性まで忖度する必要がなくなるから。
しかし天才にももちろん人間として弱い部分があり、温情あふれる行動にでるときもある。
今回の事件は、夏の日中に風邪で寝込んでいた少年が、本来見えない位置にあるはずの赤い車を目撃したことがキーとなる。その車が実在したとすれば、容疑者(石井正則!……小柄であることを強調したキャスティング)のアリバイは成立するのだが。
少年の父親は仕事にめぐまれないライター。息子の体験が幽体離脱だとはしゃいでしまう。その父のために嘘を重ねる少年。往時のスプーン曲げ少年たちが思い出される。
これ、子役に演技力がないと陳腐になってしまうところ。でも演じているのは、いまやキムラ緑子の作品として記憶される「パッチギ!Love & Peace」のあの子なのでうまいうまい。不遇な親子には近所の焼肉屋のお姉さん(北陽の虻川)が親切にしてくれている。
理不尽な存在である子どもを湯川は毛嫌いしている。なにしろじんましんが出るくらいだ。しかし、嫌いではあるけれども子どもの心を理解できないわけではない。理系オタクとは要するにガキの側面があるわけだし。子どものために(ではないと強調はされているが)、湯川は必死で幽体離脱の謎を解く。
今回のネタは屈折率。光は濃度の差によって屈折する。炎天下にガラス工場から液体窒素が漏れ出した事故により、濃度の違う気体の層ができ、その瞬間だけ見えるはずのない赤い車が現れる……きわめて映像的においしいシーン。すばらしい。
堅物の変人が、ねじまがった(屈折した)性格でありながら子どもを救うというフォーマットは、第二話ですでに確立しているのでした。あ、ところで真犯人って誰だっけ(笑)。
03「騒霊ぐ」につづく。
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