第25話「消えた古畑任三郎」はこちら。
1~2シーズンの総集編「消えた古畑任三郎」のオンエアが1996年4月9日。視聴率がコンスタントに25%超というお化け番組となった古畑任三郎は、ほぼ三年後、1999年の正月にスペシャル版で復活した。
ゲストは人気絶頂のSMAP。彼らを“同じ孤児院出身の運命共同体である5人組”として犯人役に起用したのだ。フジテレビらしい仕掛け。古畑任三郎のイベント化はここに頂点を迎えたわけ。
三年もたっているので、キャストも仕切り直し。
「赤か青か」で爆発物専門家を演じた木村拓哉は、もちろんスマップの一員として。
「さよなら、DJ」でラジオ番組のディレクターを演じた宇梶剛士は卑劣な恐喝者として。
いたるところに出演していた梶原善は、弁当屋「梶善」(笑)の配達係として、それぞれ再登場する。
そして、もはや制御不能となった今泉慎太郎に代わる古畑の助手に、アリtoキリギリスの石井正則が起用された。これは三谷幸喜のたっての希望だったようで、“身体に似合って”コマネズミのようによく気がつくアシスタント役はぴったり。(誰も言わないけど)けっこう長身でスマートな西村雅彦とのアンサンブルもいい。
さて、今回は草なぎ剛を脅迫する宇梶を、5人全員で(アリバイをお互いに補完しながら)殺すストーリー。5人のなかで、誰かが計画を妨害しているという伏線も用意されている。
三谷幸喜は役者のキャラに合わせて書くのが好きなので、制約の多さはむしろ歓迎だったろう。いい子ぶる中居、ダンスのおぼえが悪い稲垣、切れるとみさかいがなくなる香取、しょぼくれる草なぎ、そして傲慢な木村……ジャニーズ事務所も脚本に苦笑していたのではないか。
「ぼくたちもオトナですから」と主張するスマップを「オトナじゃないから心配してるんじゃない!」と叱咤する敏腕マネージャー(戸田恵子)は、実際のスマップのマネージャー(ジャニーとメリーの娘との間で壮絶なバトルをかましているとか)がモデルになっているのだろうか。
スマップのことなど知らないふりをして、しかし「稲垣さん、『青春家族』拝見してましたー」とテレビっ子ぶりを見せる古畑がおかしい。
ただ、やはり「古畑任三郎」には、田村正和に拮抗できる“役者”が必要なわけで、ドラマ的には少しもの足りない回だった。だいたい、多少の恐喝なんかであの事務所が動揺などするものか。
第27話「黒岩博士の恐怖」につづく。
あ、ひとつ忘れてた。この回には小林千香子という元ホリプロのタレントが出演していて、すごく魅力的だったのだ。でも今は結婚して引退しているのだとか。そうかぁ、お幸せに。