その6「トイ・ストーリー3」はこちら。
殿堂入りの最後は、「機動警察パトレイバー 第5、6話 二課の一番長い日(前編・後篇)」。
前にも特集したように、パトレイバーの“枠”はあくまでもロボットアニメだ。汎用産業用ロボットが二足歩行である必然性はもちろんないが、アニメファンはマジンガーZ以来、ガンダム、エヴァンゲリオンと、このスタイルになじんでいる。
テーマソングもポップ。主役の泉野明(ノア、ですよ!劇場版にはエホバも出てきます)の性格もきわめて明るく、アニメファン大納得。
しかし、この「二課の一番長い日」は、パトレイバーの政治的、軍事オタク的側面が強調されている。
タイトルはもちろん岡本喜八の「日本のいちばん長い日」からいただいている(追悼半藤一利さん)。
軍用レイバーを利用した自衛隊の一部のクーデター。
決起がスタートすると、雪が降ってくるあたりの演出もにくい。日本のクーデターには雪も似合いますから。
いつもなら泉と篠原の若者コンビが主役となるところ、この二話において主役は完全に特車二課第2小隊の後藤隊長だ。一部ではカミソリ後藤と噂される昼行灯な中年。彼のもとには情報が集まり、的確に判断し、そして先の先を読んだ手を打つ。自衛隊がパトレイバーを接収するであろうことを予測し……
お気づきですよね。この「二課の一番長い日」が、劇場版のプロトタイプであることに。脚本の伊藤和典と監督の押井守は、ロボットアニメの姿を借りて過激な政治ドラマを構築して見せたのだ。殿堂入り納得。
問題は、パトレイバーって一回見始めるとやめられなくなるってことなんだよなあ。そしてこれ言っていいですか。おそらくは後藤と第一小隊隊長の南雲の関係は、結局は実現しなかった押井守版「ルパン三世」だったんじゃないですか。ルパンと不二子じゃないんですか。
「LOGOムービー」につづく。
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