事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ウォンテッド」Wanted('08 米)

2008-09-22 | 洋画

ああああイライラする。またあのデブ上司が後ろでホッチキスをカチカチいわせて皮肉をこいてやがる。くそ、今日も残業かよ。この仕事をクビになったら行くとこないしな。汗が出てきた。ち、いつものパニック症候群か。心拍数が上がってきやがった。け、なーにが「だいじょうぶか、ウェスリー」だ。おためごかしに。お前がオレの彼女と寝てるのはわかってんだよ。どうだ同僚のガールフレンドを寝取った気分は。オレがおとなしいのをいいことに……ちきしょう、こんなクソみたいな人生とおさらばしたいな。でも死ぬ勇気もないしな。あああもっと心拍数が上がってきた。クスリはどこだクスリはっ!

 ストレスに苦しめられる顧客管理係ウェスリーは、要するにわれわれ観客の象徴だ。そしてこの気弱な男がドラッグストアでなけなしの金をはたいているときに、隣にそれはそれはゴージャスな美女(名前がフォックス!)がやってきて、彼の人生は一変する。パニック症候群であることは、実は彼の隠れた才能を示すものだし、彼の父親こそが高名な暗殺者であり、その血を受け継いだことで『何者でもなかった男』は『何者か=暗殺者』に変貌する……ひー、ここまであざとくやるか、とあきれるぐらいの夢物語。

 たいした努力もなしに、自分が“選ばれし者だった”という理屈で才能を発揮。これは「ハリー・ポッター」に代表されるおとぎ話の王道だ。貴種流離譚ってわけね。でも、もうちょっとひねれないかなぁ。

 気弱な若者ウェスリーを演ずるジェームズ・マカヴォイは、おそらく日本の女性たちに受け入れられるタイプではない。アメコミまっしぐらの展開も日本人が咀嚼するのは苦労しそうだ。それでも大ヒットしているのは、「マトリックス」もびっくりの特撮と、あとはひたすら女狐を演ずるアンジェリーナ・ジョリーの魅力のおかげ。んもう妖気すらただよってます!

「ドラゴンボール」と同じように、格闘技や射撃の修行シーンは楽しい。いくら負傷しても“白血球を活性化させることで数時間で全快する”回復風呂(これがいちばんうらやましい設定)のおかげですぐに立ち直る主人公。おまけにサポート役がクール・ビューティのジョリーですから。後半はそのお返しにヘビーになり、特撮にも驚かなくなるのでちょっと退屈。でも、そのたびにジョリーの怖いくらいの美貌(ともちょっと違うけれど)と肢体がスクリーンに大写しになるので、ストレスに悩む観客にはちょうどいい出来になってます。とりあえず、そんなに血圧高いと長生きできないぞウェスリー。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ドッペルリターンズ!~直球な人 | トップ | 日本の警察 その19 「修羅... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

洋画」カテゴリの最新記事