事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」(2017 TBS)

2017-11-10 | 邦画

わたしは沖縄に行ったことがない。

沖縄に関しては、知識としていくらかためこんでいるだけ。ただ、1960年生まれにとっては、返還前の沖縄について、かろうじてリアルタイムで経過を(主にテレビで)見知っている世代だろうか。

返還式典で佐藤栄作総理が涙を流しているのをまだ覚えているし、返還された途端に、屋良(やら)主席が屋良県知事に呼び名が変わったものだから違和感もあったっけ。今でもわたしにとって屋良さんは主席の呼称が(沖縄県人には怒られそうだが)フィットしている。沖縄が返ってきてよかったよかった……しかしわたしはなんにもわかっちゃいなかったのである。

米国統治下の沖縄が、どれだけきつい状況だったかにまず驚かされる。

・米兵が夜な夜な婦女暴行に及び、ほとんどの女性が陵辱された村もある。

・有無を言わせず土地を収用し、基地を当然のようにつくる。

・裁判はすべて米軍に有利にすすむ。

・議会の上に高等弁務官が君臨し、米軍に都合の悪い施策はキャンセルされる。

……つまり民主主義の国という建前でやってきたアメリカは、ひきつづき圧政で沖縄の民を苦しめたのだ。占領軍が紳士的だなどというフィクションをどうして能天気に信じてこれたのだろう。沖縄は、戦時中は日本軍によって捨て石にされ、終戦と同時に今度は米軍が島々を蹂躙。

そこへ、抵抗者としてあらわれたのが瀬長亀次郎。沖縄人民党を組織し、那覇市長となり、のちに国会議員を長くつとめた。彼の投獄、出獄、市長への当選、米軍の嫌がらせ(銀行をおさえるなど、まさしく嫌がらせだ)などをとおして、彼はカリスマになっていく。

彼の武器は、その文才と演説のうまさだ。民衆の心をつかんだのは、同時に愛敬があったことも大きい。つまり、政治家としての要件をたっぷりとみたしていたわけ。魅力的な人物であったことは、彼や支持者へのインタビューで明らかだ。

地政学的に沖縄に米軍は必要、などとふざけたことを言い放つ輩も多い昨今だからこそ、意味のある映画。わたしたちがいかに沖縄を、そして占領という事実を知らないかを思い知らせてくれる。なにより、現在もなお当時と似た状況にあることがきつい。

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