リオオリンピックで金メダルラッシュだからこそアップ。
「先ほど国歌の斉唱があった。どうしてみんなそろって国歌を歌わないんだ」
「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」
……「今月の名言」の回ではないんだけど、おなじみの森喜朗元首相が、またまたかましてくれたのでとりあげないわけにはいかない。
場はリオ五輪日本代表選手の壮行会。実はこのとき、子細はよくわからないけれども次第では「国歌斉唱」ではなくて「国家独唱」で、陸自の歌姫が歌いあげるのを拝聴することになっていた、というオチがついている。
それはともかく、君が代についてはこんな話が満載だ。東京都教育委員会は卒業式で起立しない教員に“研修”を行い、大阪では実際に歌っているか口元をチェックするという情けない事態も。
「君が代」の“君”が天皇を指すかどうかという問題をはるかに超えて、この歌が一種の踏み絵のような存在になっている。わたしは「君が代」という歌に恨みはないが、強引に歌わせよう、歌わなければ日本人ではない、とする姿勢は激しく嫌悪する。
で、この本はマンガ評論で有名な、と同時にあの西原理恵子の「できるかな」シリーズの編集者としても知られる新保信長が、じゃあ他の国歌はどんななんだ、と20ヶ国を調べた(在日外国人の知り合いや、知りあいの知り合いにインタビューしているのがいい)コロンブスの卵のような書。
いやー参考になりますね。多くの国歌は、血塗られていたり、過度に攻撃的だったり、妙に宗教的で意味わかんなかったり。古語が多いので国民があまり理解できないあたりは君が代と共通している。W杯で中田英寿やジダンはなぜ国歌を歌わなかったのかの考察も鋭い。
すべての国歌をくだけた形で翻訳してあって笑えるのだが、西欧があまり国歌について意識的ではない反面、アジアは思い入れたっぷりという傾向はあるようだ。サンプル少ないけどね(笑)。
わたしはつくづく思う。歌え歌えと強制すればするほど、その歌を愛する国民が減少することを、この国の為政者はわからないのだろうかと。
あ、実は君が代なんてどうでもよくて、国民統合!という政治的役割だけを期待しているのかな。だとしたら、ますます不幸よね君が代。今上はそのことをよくわかっている人間(ですよ)だと思う。
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で、弟曰く「南米の国はみんな張り切って歌っている、軍事政権が長かったからではないか。あとアメリカも。
ヨーロッパの国は、移民の選手が多いからかあまり熱心に歌ってなかった」そうです。
アジアの国はどうだったか、は言ってませんでした。
ジダンにフランス国歌を歌えというのはやはり拷問。
そういうことも含めて国歌というものを
穏やかにとらえればいいものを、あのオヤジに
代表される人たちにそれは無理よね。
“歌”って感情に訴えるものだし、
だから政治的にかなり利用されるわけだ。