事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

HAIRSPRAY('07)

2007-11-11 | 洋画

Hairspray  東京に住み始めたころ、まず実行したのは情報誌(「シティロード」「ぴあ」)を買って映画館の所在を確認することだった。小田急沿線の狛江に住んでいたので、近いところから「登戸銀映」「下北沢オデオン座」「三軒茶屋東映」「三軒茶屋映劇」と次第にエリアを広げ、慣れてきたところで「新宿昭和館」「テアトル新宿」「池袋文芸座」「飯田橋ギンレイホール」「飯田橋佳作座」「大塚名画座」などのメジャーな名画座(矛盾して聞こえるだろうけれど当時は歴然とそんな感じだった)に遠征するのが習慣になった。

 でも、どうしても行くことが出来ない場所があった。新宿厚生年金会館裏の「アートシアター新宿」。常設の映画館ではなくて、なんかガレージのようなところ。なぜそんな場所に行きたかったかというと、ぴあでいえば【自主上映】のページに毎月定例で「ピンク・フラミンゴ」(’72)と「フリークス」(’32)という二本立て上映のイベントがあると告知されていたから。映画青年なら、無視できるはずもない。

「フリークス」は、自らも交通事故で障害者となった人気映画監督トッド・ブラウニングが描いた不具者の饗宴とでもいうべきカルト映画。「ピンク・フラミンゴ」の方は、女装の巨漢ディバインが犬のウンチを食べるなどの悪趣味の限りを尽くした……まっとうな方は絶対に観ない方がいい映画なのだ。厚生年金近くでそんな上映会だと、集まる観客はいったいどんな人たちなのっ!結局山形に帰るまで一度もそこへ行くことはなかったのである。惜しいことした……か?

Pink20flamingos1  その「ピンク・フラミンゴ」を若くしてつくりあげた変態監督ジョン・ウォーターズが、なんとこの「ヘアスプレー」のオリジナルの作者なのだ(’88年作品)。コロコロした健康デブお姉ちゃんが踊りまくるミュージカルを、あのジョン・ウォーターズが?

 しかし内容はさすがにひねってあった。1962年、黒人文化がまだ一種のタブーとされていた時代に“白と黒を混ぜ合わせる”ためにデブ姉ちゃんがはりきるお話。彼女の体型は『他人と違ってなぜいけないの』という主張を文字通り体現している。オリジナル版でディバインが演じたママをジョン・トラボルタ。デボラ・ハリー(マジで元娼婦だった)が演じた悪役ママをミシェル・ファイファーが気持ちよさそうに演じている。クィーン・ラティファが歌い上げるフィナーレの群舞はすごい。まあ、ブロードウェイのミュージカルを経過しているだけに、ちょいと漂白はされている感じだけど。

Hairspray02 ゲイだったジョン・ウォーターズが何を言いたくてこのミュージカルを創りあげたかを考えれば、彼の主張は今も健在。他人と違ったって、かまわないよな確かに。

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