「うる星やつら」篇はこちら。
おっと肝心の「攻殻機動隊」にまだ話が及んでいなかった。アニメ特集の最終回は、もちろんこの作品のことを。劇場版の1作目と2作目にあたる「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「イノセンス」には押井守らしい臭味が爆発。そのために敬遠されるリスクはある。なにしろ「ビューティフル・ドリーマー」とおんなじ“現実と夢想の狭間の追求”をくどいぐらいにくり返しているからね。押井が、作品のなかで言うように「ネットの世界は広大だ」とほんとうに信じているかは疑問だし。
でも、押井の弟子にあたる神山健治が構成したテレビ版「攻殻機動隊S.A.C(STAND ALONE COMPLEX)」はオタク濃度の低い人もぜひ見てほしい。攻殻の世界を借りて“刑事ドラマ”がつくりたかったと企画されたこのシリーズは、テレビの最大の長所『長時間にわたってひとつのテーマを追求できる』ことを利用し、ネットの世界で機械に精神(Ghost)は宿りうるかを、原作の士郎正宗以上にハードかつ徹底的に描いている。文句なく傑作。菅野よう子(溝口肇の奥さんです)の音楽もみごとだ。
2004年、わたしが見たDVDソフトのほとんどは押井が関与するプロダクションI.G.(あのタツノコプロから分離)の作品だった(「キル・ビル」を含む)。日本がいつの間にか世界に誇れる最大最良のアートとなったジャパニメーションを、日本人が楽しまないなんてもったいない。
「海の神兵」「白蛇伝」「鉄腕アトム」から遠く離れて、アニメは今、いびつではあるけれどそれなりに日本で花開いている。ぜひ、ご賞味を。
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