事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「赤の他人の瓜二つ」 磯﨑憲一郎著 講談社

2012-01-15 | 本と雑誌

414pnabwywl_sl500_aa300_

赤の他人の瓜二つ
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2011-03-18

語り手である“私”は、冒頭にしか出てこない。以降は、“私”にそっくりな赤の他人(つまりは自分であったかもしれない人物)や父、あるいはチョコレートに翻弄される人物たちに主体がどんどん移り変わっていく。こんな手があったのかとびっくり。

この手法あるかぎり、物語はどのような方向にも飛んで行けて、その代わりに文章に魅力がないと読者に放り出されてしまう。その意味でこの作品は完全に成功している。なにしろ面白くって仕方がないのだ。さすが「終の住処」で「あ、芥川賞受賞作も面白いんだ」と思わせた磯﨑憲一郎。やるなー。

日本人作家が描く、もうひとつの「チョコレート工場の秘密」。ぜひ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« わたしの2011~興行収入篇 | トップ | わたしの2011~極私的ベストワン »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

本と雑誌」カテゴリの最新記事