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さていよいよ「タイタニックの最後」の最後です。
映画「タイタニック」が周到で、しかもあざとい極致は「碧洋のハート」と呼ばれるダイヤモンドの存在にあると思われます。
執着していたわけでもないあのダイヤ、愛してもいない男に贈られるはずのあのダイヤが、なぜ沈没した瞬間にローズの手にあったかが、ラストの船室からの脱出劇につながっているのはおみごと。その存在の故に探査船まで出たのだし。しかしどうもうまく運びすぎててなあ、というのも正直なところです。
ローズがラストで死んでいるか、今でももめている原因はこう推測できます。観客には誤解する権利があると。
事故のあと、彼女は新天地アメリカで新しい名前を得て(ジャックのラストネームを彼女は名乗る)、亡くなった恋人に語ったように、乗馬をしたり、貴婦人の立場ではできなかったであろう奔放な人生を歩みます。
家族にもめぐまれ(孫娘を演じたのがジェームス・キャメロンのいまの奥さんなのはお伝えしましたね?)、彼女は不当なあつかいだった前半生の借りを返しています。しかしローズに徹底して感情移入している観客は、そんな彼女に死は似つかわしくないと感じるのでしょう。
わかります。わたしだって「ブレードランナー」のラストで、たとえどんな設定であろうとも、デッカード(ハリソン・フォード)とレプリカントはいまでもふたりで幸せに暮らしていると思っていますから。
ただ、無粋にもわたしがそれでもローズが亡くなったと推論するのは、沈没事故において亡くなった人たちが彼女の目前に現れる……その顔が満面の笑みで
「がんばったね」
「待っていたよ」
と語っていたように思えるからです。誘っているんですよ。ローズにとって、碧洋のハートを海に返し、天国に行くことがジャックとの再会としてラストにふさわしい。
なぜ自分でもこの回だけ丁寧口調だったのかよくわからないけれど、そういうことだと思います。証明終わり。
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