傑作でがんす。
リプレイが見たくなるほどすさまじい真田広之と田中泯の殺陣。凄艶なまでに復活した宮沢りえの美貌。あきらかに「となりのトトロ」のサツキとメイを意識した子役たちの愛らしさ。ちょい役の一瞬の表情まで行き届いた演出。松竹の伝統で、円熟した監督がなぜかローアングルになる不思議。ナレーションだけが庄内弁ではない理由がラストでちゃんと明かされる計算された脚本。そしてそのラストであの大女優が庄内平野に立って見せる貫禄の演技……
日本映画が久々に見せる、静かな語り口の、丁寧につくられた作品だ。
しかしわたしはこの映画を観ながら、もう一本の“撮られなかった映画”のことを考えていた。
二十数年前、山田洋次は盆と正月に作り続けなければならない寅さんに疲れ果て、別の企画を松竹に提案していた。「武蔵と寅吉」がそのタイトル。老いた剣豪が寅吉という百姓の家を訪れて……といったストーリーだったと思う。配役は武蔵に三船敏郎、寅吉はもちろん渥美清である。
だがこの企画は会社の徹底した拒絶にあう。もはや寅さんでしか稼げなくなっていた松竹系の興行主たちが猛反対したからである。当時就任した松竹の新社長は、就任の第一声で「『武蔵と寅吉』は撮らせない」と言明せざるを得なかったほどなのだ。
以来、山田洋次は心のどこかにその鬱屈を抱えてきたのだろう。黒澤明を師と仰ぎ、落語にも造詣の深い山田が、時代劇が撮りたくないわけがないのである。
そして、奥山前社長一派をクーデターで追放し、もはや社長以上の権力者になった山田が満を持して放ったのがこの作品なのだ。翌日に藩命によって心ならずも人を殺しに行かなければならない真田が、深夜に刀を研ぐシーンに、一瞬、善良なルックスのなかに狂気を抱え込んでいる渥美の姿がダブったのはわたしだけではないと思う。
ネイティブの庄内弁スピーカーであるイオンシネマの観客は、やはりどこか不自然な役者たちの庄内弁に苦笑していたが、ご当地映画として「砂の女」や「湯殿山麓呪い村」以上に感情移入できるように作ってあった。庄内人必見。
日頃めったに映画など見に来ないのであろうおじいちゃんたちは、帰りにもぎりのお姉ちゃんに「いい映画だけの。ありがどの。」と礼を言っていた。いい光景だ。
イオンシネマもここはちゃんとこう言って返さなきゃ。
「もっけでがんしたー。しぇば。」
一つ質問があるのですが,よろしいですか?
何の映画かなーとずっと思ってた
印象的なシーンがあるのですが,
もしかしてこちらの映画でしょうか.
主人公(?)が,ご飯茶碗に残ったご飯粒を,
お茶を注いで漬け物で寄せて食べていました.
スマートだなあと,目から鱗でした.
っていうか山田洋次は
「こういう風習があったんですよ」
と観客に伝えたかったんでしょう。
それがあざといんでどうも(笑)
あれは箱膳というやつで、確かに合理的。
戦後まで残っていた風習だそうですが、
それを駆逐したのがちゃぶ台だそうです。
いま勉強しましたっ。
horiさんの手腕により,
観たい映画見直したい映画,増えました☆
出川哲朗充電バイク旅,昨日こちらでは
山形秋田縦断の回だったんです.
今,録画観て偶然すぎてビックリ!
庄内平野の鶴岡~酒田~仁賀保高原ルートで,
甚句流し,ウドちゃんち,海水浴場など.
高原寄りの「じんざぶろう」っていう
古民家カフェのシーンで,
古畑の曲かぶせてありました♪
いつもながらシャレが効いてます.