事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」相沢沙呼著 講談社

2020-01-24 | ミステリ

ミステリ界随一の本格的な奇術家【マジシャン】でもある相沢沙呼の、巧妙にして実にイジワルな、それでいて実に胸のすく一撃!/綾辻行人

この探偵のどこが凄いのかについては、読んだ人としか語り合えません。最後まで読み切った人としか……(含み笑い)。/有栖川有栖

……Medium、とは「霊媒」のこと。死者の存念を感じることができるとする美少女が、ミステリ作家と組むことで現実の事件を解決していく。

被害者の意識を読み取れるのなら、犯人なんかすぐにわかっちゃうじゃないか、という疑問はもっともだ。しかし、犯人が特定できたとして、どうやって警察を納得させられるのかなど、これはこれでミステリとしての妙味があるのでした。

作者はライトノベル出身者らしく、ちょっと照れるぐらいラブコメ仕込んでます。また、あまりにも異常な設定なものだから、むしろ「日常の謎」とはなにか、密室とはなにかについて意識的なフレーズを自然に挿入できてもいる。

なるほどミステリ好きたちが騒いだわけだ………………しかしこの小説の凄みは、実は別のところにもあるのでした。そう来たかあ!

よくもまあこんなめんどくさいことを考えて、しかも小説として成立させたよなあ。実は途中で「あ、ひょっとして」とある程度までは読めたんだけど、それ以上の展開に持って行ったのにびっくり。

冒頭にあるように、この本の帯にはミステリ作家たちの絶讃評がてんこ盛り。この作品がどれだけのアクロバットを決めたか、実作者たちはため息をついたことだろう。泡坂妻夫につづくマジシャン作家の将来は明るい。やっぱりマジックとミステリは親和性が高いんだなあ。「このミステリーがすごい!」第1位納得。


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