百物語もここに来て聞き手が交代。おちかがお嫁に行ってしまったので(本屋と結婚ってのはいいよね)、三島屋の次男坊である富次郎へ。その意図するものはなんだろうと考えながら読む。
絵心のある富次郎のことだから、それぞれのエピソードにきちんとした縁取りを与えることができる。でもそれはこれまでだってやってきたこと。とすれば、聞き手が男である必要を宮部みゆきが感じるお話が始まったということだろう。
艶笑譚(笑えはしないが)である「泣きぼくろ」、哀しい幽霊がひたひたと飛脚についてくる「同行二人」、時代ファンタジー、というかゲームのノベライズのような「黒武御神火御殿」といずれも素晴らしいが、なんといっても壮絶な鬼姑が登場する「姑の墓」がすごい。確かにこれはおちかにはあまり聞かせたくない話かも。
そしておちかが人妻として登場し、彼女が幸福であるらしいことに読者も安堵。長い付き合いだものねえ。
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