ハードボイルドミステリの主人公は、とにかく渋くなければならない。
だってそうでしょう？およそムダとしか思えないことにこだわり、妙にやせ我慢をし、ボディにパンチを喰らいながらもへらずグチを叩く……渋くなければ単なる阿呆にすぎない。
でも日本の場合はちょっと様相がちがっていて、単なる阿呆であればあるほどハードボイルド的に愛される。それはすべて「傷だらけの天使」の萩原健一と「探偵物語」（テレビの方ね）の松田優作のおかげ。
ビギのファッションに身をつつみ、しかしやることなすことがかっこわるい「あにきぃ」（by水谷豊）の姿と、渋すぎる成田三樹夫（酒田出身です）から「工藤ちゃあん……図にのるなよ探偵。」とすごまれてヴェスパでトンズラこいちゃう私立探偵こそが、かっこ悪いがゆえにかっこよかったのである。
東直己がつくりあげた名無しの探偵は、おそらくはその直系をめざしたものだ。サイドベンツのはいったダブルのスーツを着込み（なんて趣味だ）、携帯電話も持たず、バーのカウンターで電話を待つ便利屋。なんか渋い感じだけれど、ひと皮むけばウォシュレットじゃないトイレには入れない情けなさ。
そんな名無しを大泉洋に演じさせたアイデアは秀逸。もっとも、どんな役をキャスティングしても大泉の場合は意表をつかれた感じですけど（笑）。
おまけにコンビを組む高田役が松田優作の息子である龍平なのがうれしい。大泉が名無しなので「探偵。」と呼びかけるのね！
へらずグチの応酬が意外に少ないのと、演出の切れ味がどうも今ひとつ。でも、探偵のいるBAR、ケラーオーハタが初めて映像化され、50代の人間向けのサービスもたっぷり（ちょっと太りましたねあの人）、ネタバレになるから言えないけどキャストでちょいとしたひっかけまで用意してある。意地でも警察に頼らないあたりは原作テイストを尊重してあってこれもうれしい。
東映としても収益をあげられるのが「相棒」と「仮面ライダー」だけという現状は不安だろう。大泉と松田のラストのやり取りは本音とみた。どうかこの探偵の物語がヒットしてシリーズ化されますように。年に一度くらいは、日本人も私立探偵の映画を楽しみたいじゃないですか。
ってことでめでたく第二作につづく。
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いやー面白かったですね！ヨメの運転なんで少々アルも入りつつ。。
幼少の頃兄貴から薦められたドラマ版「探偵物語」が探偵物が
好きな理由ですが、本作もユーモアとシリアスのバランス最高です！
（濱マイク、仮面ライダーW、33分探偵、コナン 等探偵物好きですねぇ）
パンフも遊び心あるデザインでした。勿論続編にも期待！
探偵と高田のやりとりがもっとあってもよかったよね。
バーテンにクセの強い役者を選ばれるとしんどかったかも
しんないのに、それをやらなかったのはすごいな。
たとえば笹野高史とかだったらともかく、東映だから
松方弘樹あたりを引っぱり出されるとちょっとねー（笑）。
でもどうしても亜流つうか、お前にはやっぱ役不足つか、とにかく全体のアンバランス感が駄目でした。
ショーケンと優作は、格が違いますわ。
できれば、龍平ちゃんがもうちょっと年いくと、アリですが、それじゃあ見え見えですもんね。
龍平ちゃんのあのキャラは「まほろ駅前多田便利軒」で見てしまったもので。
そうだなあ、誰がいいかなあ。・・・思いつかない。
成田三樹夫さん、懐かしいですねえ。個性派俳優ってのはああいう人を言うんでしたよね。
酒田は芸能、鶴岡は文学。。。かな。
もち、減らず口が途切れず、女好きにもストイックにも
見える……いるじゃないですか今の日本にも。
そう、木村拓哉が（笑）
マジでいいと思うけどなあ。