70年代に「面白半分」という月刊誌があって、吉行淳之介、野坂昭如などが交代で編集長をつとめていた。野坂のときにあの「四畳半襖の下張」を掲載して裁判沙汰になったりもしていた。
わたしが読んでいたのは筒井が編集長だったころ。なにしろそのころの筒井人脈が爆発。タモリ、坂田明、山下洋輔、中村誠一、冷やし中華(笑)などが入り乱れ、おそらくはあの雑誌のなかでは最高の発行部数となったろう。
そのなかで圧倒的に人気だったのが筒井の日記。発表を前提にしていると広言していたけれど、その内容は露骨。出版社の編集たちが「あれ、早く終わってくれないかなあ」と嘆いていたのも当然と思えるくらい日常をそのまんま描いていた。
だからわたしのなかでは日記文学の最高峰といえば清少納言でも永井荷風でもなくて、つかこうへいの腹黒日記と筒井の腹立半分日記なの。文学者としてずいぶんとご立派になったし、ブルジョアにもなったので昔とは……昔からこんな感じだった気もします(笑)
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