事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

オリエント急行殺人事件 第四夜

2016-01-23 | ミステリ

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さあネタバレ全開でいきます。

クリスティの「オリエント急行殺人事件」が最初に邦訳されたとき、そのタイトルはなんと「十二の刺傷」(笑)。ばればれです。いつもは閑散としているはずの寝台車が満室だったことでもわかるように、要するに全員が共犯だったのである。ただし、ひとりだけ殺人を行っていない人物がいて、はたしてそれは誰なのかという謎は用意してある。

クリスティは掟破りな人で、全員が犯人なパターンなど生ぬるい。登場人物全員が殺されてしまう「そして誰もいなくなった」もまだまだ。某有名作品においてはついに読者の怒りをかってしまい、失踪事件まで起こしている。

さて、それでは彼らの動機はなにか。佐藤浩市は軍人の娘を誘拐し(リンドバーグの事件がモデル)、身代金をせしめたが裁判で無罪となっている。だから軍人とその妻の身内、使用人、友人たちが総がかりで復讐したわけだ。

しかし疑問が残る。この事件は大々的に報じられ、多くの人の記憶に残っている。そのために萬斎は佐藤浩市の正体を見破るのだ(脅迫状を帽子入れにのせて火をつける描写は秀逸)。

とすれば、誘拐事件と乗客が全員なんらかのつながりをもっていることは容易に判明するだろう。偶然として片づけるにはどうしたって無理がある。彼らは佐藤浩市を恨みに思う架空の犯人をでっちあげはするのだが、どうもこのあたりはしんどい。

犯人たちにとって最大の計算違いは、言うまでもなく関ヶ原で列車が雪崩のために止まってしまうこと。そして途中で雪が止んでしまったことだ。雪の上に足跡がない以上、犯人が寝台車に乗っていることは萬斎でなくても指摘できる。

ここからはその萬斎の独壇場。ひとりひとりを食堂車に呼びつけ、尋問開始。このドラマでいちばん面白いのはここでした。名探偵が容疑者をなぶるのは古畑任三郎でさんざんやったことだしね。以下次号

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