“新種”としての自分に懊悩し、旧人類からの差別に一方は共存の道をさぐり、一方は破壊によって解答を得ようとする……「X-MEN」シリーズの根幹はこれよね。
突然変異体という一種のエリートに自分を重ね合わせたい欲望は誰の心の中にもあるんだと思う。原作はアメリカンコミックだけど、日本だって「幻魔大戦」しかり、ガンダムのニュータイプという概念も、ONE PIECEの悪魔の実だってそれに近い。
これまでの三作(スピンオフの「ウルヴァリン」は見てないです)で何が不満だったかというと、X-MEN強くないじゃん!ってこと。それぞれの能力は確かに魅力的だけど、旧人類の組織力とか武力とかに簡単にエリートたちが(なにしろアイデンティティを求めて右往左往するうちに)負けちゃう……まあ、負けはしないけれどもスカッと勝ったりはしない。
それはミュータントにマイノリティやゲイという存在を仮託しているからで……なんてこむずかしい話はともかく、今回はあのプロフェッサーXとあのマグニートーがいかにして自らの能力と対峙するに至ったか。
面白かったー。
ジェームズ・マカヴォイ(のちのプロフェッサーX)とミヒャエル・ファスベンダー(のちのマグニートー)の主役ふたりがまことに魅力的。他の超能力者たちも、なにしろ若いものだから単体ではうまく機能せず、それぞれが合わせ技で闘うあたりがうまい。このシリーズからはまたスターがボコボコ生まれるのであろう。
わたしがびっくりしたのはビーストを演じたのが「アバウト・ア・ボーイ」のガキだったこと。大きくなるにもほどがある。それにあんなに毛深くなるとは。
前日譚の映画化は近ごろ流行りのようで、これからも「ロード・オブ・ザ・リング」のプリクエルとして「ホビットの冒険」があるし、「エイリアン」も、あの巨大な異星人のストーリーが語られるみたい。
ここで作者の腕が試されるのは、どうやって「後日」につなげるか。スター・ウォーズのエピソード3において、どうしてダース・ベイダーの身長が大きくなっているかをちゃんと描いたあたりに爆笑したように、この作品でもさまざまな小ネタが満載です。
「これでぼくも本当にプロフェッサー(教授)か……禿げちゃいそうだな」
には笑った。
キューバ危機における米海軍の将軍役が「スキャナーズ」の爆発おじさんだったり、特別出演の嵐だったりも含めて、こりゃーかなり楽しめる。ぜひ。
ぼそっと語るエグゼビアに、クスッとさせてもらい、あぁ、こうやって絆は深まり、そして決別して行った・・・と。
もう2回は行きそうですわ。
「アバウト・ア・ボーイ」の少年ですが、「シングルマン」にも出てまして、そっちは結構カッコいい役です。
こんなに面白いとは思わなかったけど。
初日の一回目に行って正解。
ミュータントがあやつる超能力は、それぞれは素晴らしいんだろう
けどどうにも不自由。作り手に求められるのは、その能力を
画面でどれだけ発揮できるか。
マグニートーが錨を使ってどんなことをするかを考えると、
頭のいい人はまだまだハリウッドにはいるんだなあとびっくり。
えーと、中年男としては、あのダイヤモンドになってしまう女性ってのが、
メタファでも何でもなく魅力的でしたー(笑)