事務職員へのこの1冊

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明細書を見ろ!2024年5月号 教職調整額 紙上初任者研修PART2

2024-05-22 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2024年4月号「今年の給料袋は……」はこちら

さあ明細書を見てみましょう。左上の「給料・議員報酬・報酬」という欄に記載されているのがあなたの給料額です。管理職でもないかぎり、やけに細かい数字が並んでいるはずです。給料の額は00円ジャストなのに、なぜ端数がついているのでしょう。

これは、教職調整額という存在のためです。その額は給料の4%

どんな経緯でこの調整額がスタートしたかというと、残業代の代わりだと言われています。確かに、教育職員には時間外勤務手当は支給されません。どれだけ長時間勤務してもです。

調整額が支給され始めたのは1972年。この4%という数字はどうやって決まったのでしょう。これは教員給与特別措置法、略して給特法(きゅうとくほう)という法律にもとづき、1966年に教員の時間外勤務の実態を調査して決められたものです。

この調査によれば、当時の教員の平均残業時間は月に約8時間(!)でした。現状との差に愕然とします。だって今は小学校で41時間、中学校にいたっては58時間が平均の残業時間ですから。

これはいくら何でも現実と乖離した数字ではないかと、中央教育審議会(文科大臣の諮問機関。略して中教審)は、教職調整額を10%に引き上げることを素案にした文科省提案を了承したと報じられました。

ちょっと待って、と時間外勤務手当が支給される行政職であるわたしには違和感が。むかし、ある団体の役職にあったとき、「あなたの時給はいくらか」という特集を情宣でかましたことがありました。本当に教職調整額は時間外手当の代わりなのかと。自分の記事を引用すると

さて、教職調整額が時間外勤務手当ではない、と考える根拠は、管理職手当と比較するとよくわかると思います。

1.管理職手当は月の初日から末日まで勤務しなかった場合支給されないが、教職調整額は支給される。つまり勤務の有無に左右されない。

2.同じ意味で教職調整額は有給休職者の給与の算出基礎にもなっている。

3.管理職手当受給者には時間外勤務手当、休日勤務手当、夜間勤務手当は支給できないと明確に規定されているが、教職調整額受給者にそんな規定はない。

4.その管理職手当を受給している3級在職者(つまり教頭)にも、実は3級加算額という教職調整額が支給されている

5.期末勤勉手当、退職手当(!)の算出基礎にもなっている。

要するに教職調整額とはすでに給料の一部ではないかと。

……文科省がやみくもに教職調整額の引上げをもくろんだのは、勤務の実態と額があまりにも見合っていないことと、教員志望者が激減していることが背景にあるはず。

百歩譲って調整額が残業代だとしても、それを10%に引き上げてすむ話なのか、というあたりは来月号で特集します。

画像は「オッペンハイマー」Oppenheimer(2023 ビターズエンド)

クリストファー・ノーラン作品の常連であるマイケル・ケインが出ていないのを忘れそうなほどの豪華キャスト。アインシュタインはあの人、トルーマン大統領はあの人、という具合。

被爆者の悲惨さが描かれていない、という指摘はもっともだと思います。しかし原爆プロジェクトを成功させた人間のその後を描くことに主眼はあったはず。傑作。

この映画を、はたしてアメリカ人自身がどう見たのか、そちらの方がわたしは気になります。

 


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