肉親を殺された恨みのために、西部の荒野で犯人をどこまでも追い続ける……とくればジョン・フォードの「捜索者」っぽいけれど、同じジョン・ウェインでも「勇気ある追跡」の方のリメイク。
コーエン兄弟、スピルバーグのユダヤ系三人が、いったいあのルースター・コグバーンのどこに再映画化する価値があると計算したか。おそらく、あのラストなのだと思う。
なにゆえに年配の女性のナレーションでドラマがスタートするかがあからさまになるラストの展開こそ、無骨者ジョン・ウェインとおひな様キム・ダービーでは出せなかった味なのだろう。
ま、てなことをかましながらも、事前情報を入れないのもほどほどにしないと。わたし、ジェフ・ブリッジスだけをマークしていて、マット・デイモンとジョシュ・ブローリンが出ているなん知らなかったのでびっくり。おまけに、「プライベート・ライアン」の狙撃兵バリー・ペッパーが、それはもう汚い格好で出てきたのでうれしくなる。
当たり外れの大きいコーエン兄弟作品の出来は、お兄さんの奥さんであるフランシス・マクドーマンドが出ているか否かで判定できる……勝手な法則をつくってますが(笑)、今回は彼女が出ていないのにかなり出来がいいです。フランシスはそのかわりに、この夏に公開される「トランスフォーマー3」の予告編に登場してました。ジョン・マルコヴィッチといい、どんなキャスティングだ。
それはともかくここからネタバレ。
父親を殺され(殺したのがまったくの小物であるジョシュ・ブローリンだった悲喜劇)、泣いているばかりの母親にかわって金を工面してジェフ・ブリッジスを雇う少女。そのかわいげの無さがいいのだが、彼女は片目の保安官やレンジャー(マット・デイモン)の協力をえて復讐を“成し遂げてしまう”。
そのために少女はあるものを失い(保安官と同類になるとも言える)、かわいげのないまま一生を送ることになる。このラストは苦くていい。「ヒックとドラゴン」パターン。
そしてそれ以上に、家族愛を知らないまま血なまぐさい人生を送ってきた男のある行動こそがトゥルー・グリット(=真の勇者)たりえた要因だが、それを知るものはわずか三人にしかすぎなかったという展開は中年男にもグッときました。
まあ、放り投げたパンを撃ち落とす場面を、ほとんどありえない角度から撮るなど、コーエン兄弟の“変な感じ”は健在なんですけどね。
「勇気ある追跡」をレンタルして観ました。
ジョン・ウェインは確かに達者だけど、オスカーを
とったのは「あのジョン・ウェインがこんな演技をしてるんだから」
という性格だったのかも。
確かにいい味を出しているんだけど、彼からは酒の匂いが
しない。老いのしんどさは感じるけれども。
最初はいくらなんでもユルユルすぎる展開じゃないかと
思ってたのに、あの渡河のシーンからいきなり面白くなったので
ホッ。
おそるべき女優ですね。
彼女は能動的に一度もコグバーンに心を寄せる場面が
ないので、失った彼女の○○が、むしろ心にしみました。
TBありがとうございました!
オリジナルは観ていないのですがこちら楽しめました^^
マティを演じたヘイリーちゃん、
ジェフとマットを相手に互角に渡り合うのはほんと小気味よかったです☆
バリー・ペッパーが出てるのは気付かなかった友人もいたので、
知らずに観たかったなぁと思いました(笑
どうぞよろしくお願いします。
どうしてこう生活のリズムがシンクロするかなあ。
コーエン兄弟の最高傑作はやっぱり「ファーゴ」よね。
無駄な残虐描写がなんともいい。
でも今日、うちの職場ではなぜダルビッシュの離婚が
成立しないのかの話になり、大リーグへの移籍も視野に入れた
奥さんの深謀遠慮ではないかという結論になってました
(女性たちはかなり奥さんに手厳しい)。
これってどっかで聞いたような話だなあ……あ、「ディボース・ショウ」
だ!
こんなことはもちろん気弱な公務員は言えません。
あとはレンタルかテレビ放映でコーエン兄弟作品は観てます。
私的に共通するのは「笑えないブラックユーモア」な箇所が
必ずあるかなと。本作でいえば最初の絞首刑の場面など。
酒浸りの保安官ルーベン、口達者のマティ、タフそうで脆い?ラビーフの
組合せの不安定な面白さも有り、6/9(木)17:50の回を楽しみました。
40席のキネマ4、何と無くhoriさんっぽい方がいたような??
朝日新聞読んでませんか?三谷幸喜の「女優としての
小林聡美の実力はオレがいちばんわかってる」(意訳)
って発言には膝を打ちました(ほんとには打たないですよ)。
ウエスタンってジャンルにはいろいろと考えるところがあるけれど、
この作品は明らかに“正統”じゃない。それが美点か欠点かも
微妙。でも、たしかにあの女の子につきますね。
ドラマをしょって立ってる。
不覚にも、マットが二幕目でわかりました。
最近、奥さんが出るのが少ないのではと思いますです。
やっぱこれはあの女の子に尽きるのでは!と感じました。