事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」(2016 東宝=アスミック・エース)

2016-07-13 | 邦画

最初はどうなることかと思いました。

おそらくはCG優先のための粗い画質、ギャグはあるものの妙にうわすべり(タトゥーの絵柄が『いいちこ』と『ハイライト』なのには爆笑ですけど)、例によって役者のやりとりは最高なのにドラマとしてのうねりになっていない……うー、クドカンの悪いくせがまた出てしまったか。またマニアックな(文字通りの)地獄めぐりに映画を仕立ててしまったのか!

ところが、途中からどんどん調子が出てきて、最後には満足して映画館を出ることになる。これ、要するに学園ドラマなんだよね。「ごめんね青春!」を今ごろ見て狂喜しているわたしだからそう思うのかもしれないけれど。

あまりちゃん役の森川葵がこちらにヒロインひろ美役、どんまい先生の坂井真紀がお母さん役で出ているのでなおさら。クドカン映画にしてはめずらしく若者を集客してヒットしているのもうなずける。

主人公の大助(神木隆之介)とひろ美、部活の顧問(長瀬智也)とその妻(尾野真千子)、それぞれの純愛物語だもの。大助はもう死んでいて、顧問は赤鬼だし、校長(古田新太)が閻魔大王という設定がとんでもないだけで(笑)。

にしてもね、これはわたしたちオトナが見てもたいそう笑えるネタがてんこ盛りだ。宮藤官九郎がロック・ミュージカルをつくろうとした本気が見える。

・対バン(死後、じゃなくて死語)で登場するのがCharと野村義男のギターバトル

・なぜか憂歌団の木村充輝が渋くブルースを歌いあげ

皆川猿時が分身するとROLLYとマーティ・フリードマンが出てきて(猿時はじゅんこという役名なので、登場するときジャンゴっぽいテーマが流れます)

・楽器屋(鬼野楽器!)には往年の名ギタリストたち(ランディ・ローズ、カート・コバーン……もちろんみんな死んでます)の腕が用意してあって、猿時はジミヘンを選択するが、彼は左利きだったので腕同士がけんかする(^o^)。

そしてまたキャストがものすごいのだ。首から上しか映らない牛頭(ごず)として烏丸せつこ、顔も映らない馬頭(めず)として田口トモロヲ、中村獅童にいたってはどこにいたのかすらわからない!そしてそして、ひろ美ちゃんが成長するとあの大女優に……

童貞ロック少年の妄想を過激に描けばこうなるわけだ。てらいなくハッピーエンドにもっていくために、ここまでの仕掛けが必要だったかはともかく(笑)。

コメント
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