新宿遊牧民 価格:¥ 1,785(税込) 発売日:2009-10-09 |
「哀愁の町に霧が降るのだ」に始まった著作は(一部のSFを含めても)すべて彼の自伝と言ってよかった。究極の私小説作家なのかも。
「新宿~」はその極北。構成をわざと粗くしてどんなネタもぶちこめるようにし、ストーリーも起伏を生じないようにしている。つまり、わざと“完結”しないようにしているのだ。
その背景には、彼の知人が次々に亡くなっていることもあるだろうか。「哀愁の~」の頃にはこんな展開になるとは思いもしなかった。椎名誠も、読者であるわたしも若かったのかな。
それにしてもおなじみ目黒孝二、沢野ひとし、そして椎名の私生活は破綻しまくっている。団塊の世代の代表でもある彼らにとって、家族ってなんだ。