事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「サイコ」を読み解くPART7

2011-04-11 | 映画

Psychoimg07 PART6はこちら

 さて、「サイコ」のすごいところは“ここまででようやく作品の1/3”ってこと。つまり、主人公だと思っていた女性がここで退場してしまうのである。

この退場は徹底していて、以降ジャネット・リーは(私立探偵が差し出す小さい写真をのぞいて)一度も登場しない。こんな構成にしたヒッチコックもすごいが、よくスターであるジャネット・リーもこの役をうけたよな。

かわりに登場するのがマリオンの妹ライラ(ヴェラ・マイルズ)。ヴェラも刑事コロンボの「毒のある花」でおなじみ。ヒッチコック作品では「めまい」の主役をやる予定だったのに、妊娠したためにキム・ノヴァクに変更になってしまいました(異説もあります)。

ライラとサム、そして私立探偵アーボガストがマリオンを探す過程が後半のストーリー。意外に地味なのに、シャワー殺人があまりにショッキングなので緊張感がとぎれない。

私立探偵を演じたマーティン・バルサムが渋くていい。いかにも有能で、ノーマン・ベイツの嘘にいちはやく感づいて母親に会わせろと迫り、結果的に第二の被害者になってしまう。

地元の保安官の情報で、ノーマン・ベイツの母親は十年前に死んでいることがわかる。とすれば、モーテル裏の館にいる“女性”は誰なのか。埋葬された死体は誰のものなのか。ヒッチコックは観客に次々にヒント(とレッドヘリング)をふりまく。

【ここから完全ネタバレでいきます】

十年前、ノーマンの母親は愛人を毒殺し、自身も自殺したことになっている。観客は考えこむ。館に見える女性の影、殺人シーンに登場する女性、ノーマンと会話する母親の声をどう説明する?

この作品は1960年製作。当時の観客は本当に誰がノーマン・ベイツの母親なのかわからなかったのだろうか。もはやあまりに有名になりすぎているので今からでは想像するしかないが、「サイコ」の製作は……あ、以下次号

Psychoimg08

コメント
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