16歳以上を信じるな~Porcupine Tree "fear of a blank planet" を聴く
"fear of a blank planet" は前のアルバム "Deadwing" と同じくコンセプトアルバムである。ただ、前のアルバムが現代の宗教をテーマとしていて(たぶん)、なんだかよくわからなかったのに対して、今度のアルバムは非常にわかりやすい。
ミドルティーンの男の子の心象風景が今度のアルバムのコンセプトだ。
wikipediaには、スティーヴン・ウィルソン自身がこのアルバムのコンセプトをインタヴューでこう説明している。
このアルバムの背景はこういう世界なのだ。
まず一曲目、アルバムのタイトルチューンでもある "fear of a blank planet" で、このアルバムの作品世界が明らかにされる。
"fear of a blank planet"
(のっぺらぼうの惑星の恐怖)
Sunlight coming through the haze
No gaps in the blinds
To let it inside
The bed is unmade, some music still plays
日がホコリを透かして入ってくる
ブラインドには光が入ってこれるような
隙間なんてないのに
寝床は起きたまま、何か音楽がまだ鳴ってる
TV, yeah it's always on
A flicker of the screen
A movie actor screams
I'm basking in the shit flowing out of it
テレビはつけたままさ
画面がちらつき
映画女優が悲鳴をあげてる
ぼくはそこからあふれだすゴミにどっぷり浸りきる
I'm stoned in the mall again
Terminally bored
Shuffling around the stores
And shoplifting is getting so last year's thing
ショッピングモールでまたハイになった
死ぬほど退屈しながら
店を回るけど、万引きなんかはしない
あんなもの去年で卒業したからね
Xbox is a god to me
My finger on the switch
My mother is a bitch
My father gave up ever trying to talk to me
Xボックスがぼくの神様
ぼくの指が乗ってるのはスウィッチ
ぼくのママはビッチ
ぼくのパパは僕に話しかけることなんてあきらめてる
Don't try engaging me
The vaguest of shrugs
The prescription drugs
You'll never find a person inside
ぼくに関わろうなんてしないでよ
ほんの少し肩をすくめてみせるのは
薬漬けにされたやつなんだから
そのなかにはだれもいないんだ
My face is mogadon
Curiosity
Has given up on me
I'm tuning out desires
The pills are on the rise
ぼくの顔は睡眠薬
好奇心の方がぼくを見捨てたのさ
欲望なんて感じない
薬だけが増えていく
How can I be sure I'm here?
The pills that I've been taking confuse me
I need to know that someone sees that
There's nothing left, I simply am not here
ぼくがここにいるってどうやったら確かめられる?
いつも飲んでる薬で、わけがわからなくなってるんだ
だけど誰かが気がついたんだったら知っておかなくちゃ
ここにはだれもいない、ぼくはここにいないんだって
I'm through with pornography
The acting is lame
The action is tame
Explicitly dull, or rather a lull
もうポルノはうんざりだ
芝居は野暮だし
やることはヘボだ
モロにたいくつ、っていうより眠くなっちゃう
Your mouth should be boarded up
Talking all day with nothing to say
Your shallow proclamations
All misinformation
口なんか閉じてしまえ
しゃべることなんてないのに一日中しゃべってるじゃん
そのうすっぺらな主張なんて
みんなうそっぱちじゃないか
My friend says he wants to die
He's in a band, they sound like Pearl Jam
Their clothes are all black
The music is crap
友だちは死にたいんだって
バンドをやってるんだけど、パール・ジャムそっくりだ
着るものは黒ずくめ
やってる音楽はゴミ
In school I don't concentrate
And sex is kinda fun, but just another one
Of all the empty ways of using up the day
学校じゃぼうっとしてるんだ
セックスはまあおもしろかったけど、それもただ
一日をやり過ごすくだらない方法のひとつってだけ
How can I be sure I'm here?
The pills that I've been taking confuse me
I need to know that someone sees that
There's nothing left, I simply am not here
ぼくがここにいるってどうやったら確かめられる?
いつも飲んでる薬で、わけがわからなくなってるんだ
だけど誰かが気がついたんだったら知っておかなくちゃ
ここにはだれもいない、ぼくはここにいないんだって
Bipolar disorder
Can't deal with the boredom
Bipolar disorder
Can't deal with the boredom
躁鬱病っていうのは
退屈をどうにもできないことなんだ
躁鬱病っていうのは
退屈を乗り越えられないことなんだ
Don't try to be liked
You don't mind
You feel no sun
You steal a gun
To kill time
You're somewhere
You're no where
You don't care
You catch the breeze
It still relieves
So now where?
好かれようなんて思うなよ
気にしなきゃいいんだ
日の光なんて感じない
銃を盗んだのも暇つぶし
どこかにいるんだろ
どこにもいないのか
どうでもいいさ
風が吹いてきた
そんなことでホッとするなんて
じゃ、どこへ行きゃいい?
http://www.youtube.com/watch?v=sUnAxegUJu0
検索して歌詞サイトの歌詞を訳してたら、どうも歌詞がちがってるので、聞き返してたら遅くなっちゃいました(ちがってたら教えてください)。
興味がない人には全然おもしろくない話なんでしょうが、明日も続けます。
"fear of a blank planet" は前のアルバム "Deadwing" と同じくコンセプトアルバムである。ただ、前のアルバムが現代の宗教をテーマとしていて(たぶん)、なんだかよくわからなかったのに対して、今度のアルバムは非常にわかりやすい。
ミドルティーンの男の子の心象風景が今度のアルバムのコンセプトだ。
wikipediaには、スティーヴン・ウィルソン自身がこのアルバムのコンセプトをインタヴューでこう説明している。
この死ぬほど退屈してる子供は、十歳から十五歳ぐらいの子でね、昼間はずっとカーテンを閉め切った自分の部屋にいて、プレステをやったり、i-podを聴いたり、友だちと携帯でメールをやったり、ハードコア・ポルノをインターネットで見たり、音楽も、映画も、ニュースも、暴力も、なんでもダウンロードしたりしてる……。彼は処方薬漬けでもあるんだ。最近の親って、自分の子が問題を抱えていても、腰を下ろしてじっくり話を聞くんじゃなくて、医者のところにつれていって、薬を処方してもらうだろう、そういうのは悲劇的だと思うよ、ほんとうに。
このアルバムの背景はこういう世界なのだ。
まず一曲目、アルバムのタイトルチューンでもある "fear of a blank planet" で、このアルバムの作品世界が明らかにされる。
* * *
"fear of a blank planet"
(のっぺらぼうの惑星の恐怖)
Sunlight coming through the haze
No gaps in the blinds
To let it inside
The bed is unmade, some music still plays
日がホコリを透かして入ってくる
ブラインドには光が入ってこれるような
隙間なんてないのに
寝床は起きたまま、何か音楽がまだ鳴ってる
TV, yeah it's always on
A flicker of the screen
A movie actor screams
I'm basking in the shit flowing out of it
テレビはつけたままさ
画面がちらつき
映画女優が悲鳴をあげてる
ぼくはそこからあふれだすゴミにどっぷり浸りきる
I'm stoned in the mall again
Terminally bored
Shuffling around the stores
And shoplifting is getting so last year's thing
ショッピングモールでまたハイになった
死ぬほど退屈しながら
店を回るけど、万引きなんかはしない
あんなもの去年で卒業したからね
Xbox is a god to me
My finger on the switch
My mother is a bitch
My father gave up ever trying to talk to me
Xボックスがぼくの神様
ぼくの指が乗ってるのはスウィッチ
ぼくのママはビッチ
ぼくのパパは僕に話しかけることなんてあきらめてる
Don't try engaging me
The vaguest of shrugs
The prescription drugs
You'll never find a person inside
ぼくに関わろうなんてしないでよ
ほんの少し肩をすくめてみせるのは
薬漬けにされたやつなんだから
そのなかにはだれもいないんだ
My face is mogadon
Curiosity
Has given up on me
I'm tuning out desires
The pills are on the rise
ぼくの顔は睡眠薬
好奇心の方がぼくを見捨てたのさ
欲望なんて感じない
薬だけが増えていく
How can I be sure I'm here?
The pills that I've been taking confuse me
I need to know that someone sees that
There's nothing left, I simply am not here
ぼくがここにいるってどうやったら確かめられる?
いつも飲んでる薬で、わけがわからなくなってるんだ
だけど誰かが気がついたんだったら知っておかなくちゃ
ここにはだれもいない、ぼくはここにいないんだって
I'm through with pornography
The acting is lame
The action is tame
Explicitly dull, or rather a lull
もうポルノはうんざりだ
芝居は野暮だし
やることはヘボだ
モロにたいくつ、っていうより眠くなっちゃう
Your mouth should be boarded up
Talking all day with nothing to say
Your shallow proclamations
All misinformation
口なんか閉じてしまえ
しゃべることなんてないのに一日中しゃべってるじゃん
そのうすっぺらな主張なんて
みんなうそっぱちじゃないか
My friend says he wants to die
He's in a band, they sound like Pearl Jam
Their clothes are all black
The music is crap
友だちは死にたいんだって
バンドをやってるんだけど、パール・ジャムそっくりだ
着るものは黒ずくめ
やってる音楽はゴミ
In school I don't concentrate
And sex is kinda fun, but just another one
Of all the empty ways of using up the day
学校じゃぼうっとしてるんだ
セックスはまあおもしろかったけど、それもただ
一日をやり過ごすくだらない方法のひとつってだけ
How can I be sure I'm here?
The pills that I've been taking confuse me
I need to know that someone sees that
There's nothing left, I simply am not here
ぼくがここにいるってどうやったら確かめられる?
いつも飲んでる薬で、わけがわからなくなってるんだ
だけど誰かが気がついたんだったら知っておかなくちゃ
ここにはだれもいない、ぼくはここにいないんだって
Bipolar disorder
Can't deal with the boredom
Bipolar disorder
Can't deal with the boredom
躁鬱病っていうのは
退屈をどうにもできないことなんだ
躁鬱病っていうのは
退屈を乗り越えられないことなんだ
Don't try to be liked
You don't mind
You feel no sun
You steal a gun
To kill time
You're somewhere
You're no where
You don't care
You catch the breeze
It still relieves
So now where?
好かれようなんて思うなよ
気にしなきゃいいんだ
日の光なんて感じない
銃を盗んだのも暇つぶし
どこかにいるんだろ
どこにもいないのか
どうでもいいさ
風が吹いてきた
そんなことでホッとするなんて
じゃ、どこへ行きゃいい?
http://www.youtube.com/watch?v=sUnAxegUJu0
検索して歌詞サイトの歌詞を訳してたら、どうも歌詞がちがってるので、聞き返してたら遅くなっちゃいました(ちがってたら教えてください)。
興味がない人には全然おもしろくない話なんでしょうが、明日も続けます。
kasumiと申します。
実は、昨年Porcupine Treeのことをいろいろ調べる際に、本館のページ(The sound of muzakのページです)へたどり着き、そちらも読ませていただいたのですが、コメントする勇気が持てずに、いつかお話できたら・・・とこんなに時間が経ってしまいました。
私も上のアルバムを購入し、お気に入りの一つとなっています。
ブックレット中の写真では、16歳よりももう少し若い子たちかな~(日本で言うなら小学校中~高学年くらいの子)と思うのですが、アートワークにモデルとして使われています。
それにしたってこの年代のうちから何と希望の持てない世界を作り出してしまったのだろうかと、切ない気持ちにならずにいられません。
それから、歌詞の件ですが一箇所だけ・・・
「Bipolar disorder
Can't deal with the boredom」
が歌詞カードに記載されています。ご参考までに。
焦って書いてしまって・・・どうも失礼しました。
歌詞を訂正してくださってありがとうございました。
歌詞サイトって便利なんですけど、ときどき嘘が混じってる。みんなラブリエさんみたいに、滑舌良く、いい発音でクリアに歌ってくれりゃいいんですが、ウィルソンはぼそぼそ歌いますからね~。アメリカ人にも聞き取りにくいのかもしれません(笑)←歌詞サイトに投稿したのは勝手にアメリカ人と決めつけてる。
直しておきました。
Bipolar disorder can't deal with boredom.
つまり、「躁鬱病は退屈にたえられない」っていう文章なんですね。これで意味がしっかり通りました。
You Tubeで見ても、ミドルティーンっていうより、あきらかに小学生ですよね。
その子がつぎつぎカプセルを口に運ぶ。歌詞のなかでも、単に drugs ではなく、 prescription drugs つまり、麻薬じゃなくて、病院によって処方された薬であることが強調されています。
日本ではどうか知らないんですが、以前ジョナサン・ケラーマンのミステリを読んでいて、ADHDを抱える子供がリタリン漬けにされていて、一日中ぼうっとしている状態に置かれていることに主人公が憤る場面を読んだことがあります。
ADHDって言葉が見つかる前は「障害」ではなかったものが、言葉と同時に「障害」と認識されるようになり、治療の対象となっていく。WikipediaのADHDの項目には、ADHDの著名人の一覧があるんですが、少なくとも坂本龍馬もビル・ゲイツもパブロ・ピカソも、こういう治療を受けてはなかったわけでしょう? なんだかなあ、って思います。
> それにしたってこの年代のうちから何と希望の持てない世界を作り出してしまったのだろうかと、切ない気持ちにならずにいられません。
そうなんですよね。
だけどね、このアルバム、一曲目はそうでもないんですが、何というかすごく子供っぽくない音なんです。
たとえば似たような十代の心象を歌った Soul Asylum の "Runaway Train" の単純さに比べると、もうほんと、大人と子供くらい、曲の深さといい密度といい差がある(いや、単純な曲をバカにするつもりは全然ないんですが)。これはストリングスといい、シンセサイザーの音といい、ものすごく複雑で、聴くたびに新しい音が見つかる感じがする(だからこそ、ところどころに出てくる安直なフレーズが気にくわないんですが)。
スティーヴン・ウィルソンはいったい誰に向かってこの曲を作っていったんだろう、っていう気はちょっとします。
彼の内部にはおそらくこの年代の少年がいるんだろう。
おそらく彼はそういう経験は持っていない。そんな状態に置かれた子供たちに対して、彼の内なる少年が痛みを感じているのかなあ、みたいに思います。
音楽については、ときどきどうしようもなく書きたくなって書いちゃうんですが、いつも、こんなことを書いて、いったい誰にどんな意味があるんだろう、嘘ばっかり書いてるんじゃないか、変なことばっかり書いてるんじゃないか、と書いたあとで恥ずかしくなって、埋めてしまいたくなるんです(笑)。
こんなふうに読んでくださる方がいると思うとうれしいです。
これはまたそのうち、埋めてしまわず、全体に手を入れてサイトにアップすることにしますね。
いやもう、ほんと、聴いてる音楽もびっくりするほど少ないわたしですから、どうかお気軽に、こう思ったよ、こんなアルバムを聴いたよ、って教えてくださるとうれしいです。
書きこみ、どうもありがとうございました。
またお話、聞かせてくださいね。
歌詞サイトは聞き取って起こしているものが大半でしょうから、確かにスティーブンのようにモゴモゴモゴ~(苦笑)と聞こえる歌い方をするアーティストだと完璧に正確なものになりにくいのでしょう。
この歌のように意味がある、起承転結のある歌詞であれば比較的再現率は高そうですが、意味のない言葉の羅列だったりしたらそれこそどうしようもありませんね。
・・・と、脱線してしまいました。
私は正直英語を得意としていません、というか中高生レベルの勉強でストップしていますので、陰陽師さんのように深く踏み込んで解説をして下さる方のレビューは本当にありがたいんです。
それこそ痒いところに手が届いた!(邦訳が付いている国内盤を買いますが、その訳も場合によっては、ここはこの言い回しで本当に合ってるのかなー?と思うこともしばしばありますので)と嬉しく思います。
そして、差し支えなければ、陰陽師さんのPorcupine Treeレビューを是非私のブログでご紹介させていただきたいのですが、いかがでしょうか。
(つい先日発足しました日本のファンチームの方々に読んでいただけるように、リンクを貼らせていただきたいと思います)
スティーヴン・ウィルソンは「詩」を重視するミュージシャンだと思うんです。
このアルバムは比較的歌ってるものがわかりやすいんですが、前の"Deadwing" とか、"In Absntia" のなかには、音の響きとイメージの羅列みたいなものがかなりあって、なんとも訳しにくい、日本語にしても意味がない、そんなものも多く見られました。
ただ、それも、昔のバンド(ビートルズあたりから始まる)みたいな、わけのわからない歌詞で、神秘感や異国情緒、いかにも何か深いことを言っている感じ(ああ、こういうことを書くとビートルズファンに怒られそう…)みたいなのとちがって、あきらかに、はっきりとしたイメージはある、その言葉を音にのせて(何か主張を訴えるのではなく)、そうすることでひとつの世界を浮かび上がらせようとしている人だと思うんです。
スティーヴン・ウィルソンは、歌詞をちゃんと聴かなきゃいけない人だと思う。あの歌詞は、歌やバンドの演奏とならんで曲を構成する要素の一つだと思うんです。
だけど、悲しいかな、日本人だと、聞くだけで、歌が差し出す世界の情景が浮かんでこないでしょ。
だから、その助けになればいい、みたいに思います。
書きこみ、ありがとうございました。
完全に 理解できないながら 辞書をひきひき何とか歌詞を読み進めて 発見したPorcupine Treeの ひいてはスティーブンの頭のなかというか その世界は本当に映像的だと思いました
そうなんです 歌詞も構成要素だなっと改めて思わせてくれるバンドに出会えるのは素敵なことですよね~
陰陽師さんのレビューにも導かれましたよ
感謝しています
ではでは リンクがきちんと貼れましたらまたご報告させてくださいね