hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

吉田秋生『海街diary 5~6 』を読む

2014年08月27日 | 読書2

漫画 吉田秋生著『海街diary 5 群青、6 四月になれば彼女は』(5:2012年12月、6:2014年7月、小学館発行)を読んだ。
海街diary1 時雨やむ頃、2 真昼の月、3 陽のあたる坂道、4 帰れないふたり』のあらすじは以下。

香田三姉妹、長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の父は愛人が出来て鎌倉の家を出て行き、母もやがて三姉妹を置いて男と出ていった。社会人になった3人は、父の葬式で山形に行き、中学生の異母妹、浅野すずに出会う。長女幸はほとんど父の世話をしてくれたすずに感謝し、無表情だったすずは号泣する。幸は突然すずに4人で鎌倉で一緒に暮らそうと言い、すずはその場で承諾する。
こうして、幸、佳乃、千佳とすずの鎌倉の古い一軒家での生活が始まり、それぞれの恋が・・・。


『海街diary 5 群青』
お彼岸の頃、香田家に電話が入る。すずの叔母と名乗る女性はすずを捜していたという。すずは戸惑い・・・。登場した叔母は予想と異なり・・・。
幸は、切ない不倫を終え、緩和ケア病棟に移り主任に昇格し、厳しい状況にヘタレとなり、その時・・・。
愛の狩人と呼ばれ、呑み助の佳乃は地元信用金庫の仕事に、都市銀行から訳ありで移ってきた坂下課長と共に熱中するようになる。

『海街diary 6 四月になれば彼女は』
会ったことない祖母の遺産相続の手続きのため、すずは3姉妹とともに母の生家を訪れる。そこで、強烈な言い争いが・・・。
すずは鎌倉・3姉妹・風太たちと別れ、推薦を受けて高校でもサッカーをするかどうか悩む。

初出:『月刊flowers』(小学館)に不定期に連載。
同じ鎌倉を舞台にした、本作品の前編に対応する同じ著者の作品に『ラヴァーズ・キス』がある。
また、『海街diary』と『ラヴァーズ・キス』に登場する舞台が、写真と漫画、簡単な文で説明され、有名ショップの紹介などもある鎌倉のガイドブックの『すずちゃんの鎌倉散歩



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

普段漫画はどうもと言う人(それは私です)にもお勧め。ギャグはほとんどなく、ストーリー性が強く、登場人物のキャラも立っていて、姉妹など人間関係の絡みも巧みに描かれている。底辺にはどこか切なく、空虚な流れがあるが、人のやさしさを感じる場面も多い。

風太のドキドキでガチガチになったすずへの対応が微笑ましい。告白しようとした瞬間、邪魔が入り、逆にホッとしていまう風太がいじらしい。

すずが女子サッカー部のある高校へ進学して、風太と鎌倉を離れるのか? 幸と佳乃の恋の行方は? 6巻が早く読みたい。


吉田秋生(よしだ・あきみ)
1956年東京生れ。武蔵野美術大学卒。
1977年「ちょっと不思議な下宿人」でデビュー
1983年「河よりも長くゆるやかに」及び「吉祥天女」で小学館漫画賞受賞
2001年「YASHA-夜叉-」で小学館漫画賞受賞
2007年 本作で、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。
『無敵のライセンス 青春サバイバル・マニュアル Comic pass』に著者写真が載っていたが・・・。
その他、『夢見る頃をすぎても



長女 幸:看護師で、母親がわりで妹達のしつけにもうるさく、怖がられている。時々爆発する。しっかりものの幸の恋は・・・。
次女 佳乃:地元信金勤務。大酒飲みで、恋の狩人。長姉の幸としょっちゅう衝突する。
三女 千佳:スポーツ用品店勤務。浜田店長と同じアフロヘアーで、交際中。
四女 浅野すず:継母のもとで自分をしっかり抑えていた。サッカーの名手。
尾崎風太:すずと同じサッカーチーム・オクトパスで主将。家は酒店で大家族。
多田裕也:オクトパスのエースだったが、右足の膝から下を切断し、義足。
緒方将志:オクトパスのメンバー。空気が読めず、大声で騒ぐ。
坂下美帆:オクトパスのゴールキーパー。腰越漁港の漁師の家の4人兄妹の末っ子。
坂下課長:信用金庫で佳乃の上司。酒好き。都市銀行をなぜか退職して信金へ。
井上泰之:市民病院のリハビリ科の理学療法士。サッカーチームの監督で通称ヤス。幸が好きなのだが。
尾崎光良:尾崎酒店の3代目店主。弟は尾崎風太。

作品の中に、イギリスの詩人オーデンWystan Hugh Audenの詩 ”Twelve Songs” からの引用がある。
“Stand up and fold. Your map of desolation.”「立ち上がって たたみなさい 君の悲嘆の地図を」
コメント
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