hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

田中修『フルーツひとつばなし』を読む

2014年08月26日 | 読書2

田中修著『フルーツひとつばなし――おいしい果実たちの「秘密」』(講談社現代文庫2222、2013年8月12日講談社発行)を読んだ。

18種の良く知られたフルーツの代表的品種、身体への効用、果実ができる仕組みなどを写真とともに紹介している。

温州ミカン(普通ミカンと呼ぶもの)は、日本生まれ。江戸時代に中国からやってきて、鹿児島で「タネなし」に生まれ変わったが、当時中国のミカンの有名な集散地「温州」の名前をもらった。

イチゴの表面のツブツブ(中に種がある)から、動物によく食べられるために実を大きくする物質・オーキシンが出ている。したがって、ツブツブを取ってしまうと実は大きくならない。
「あまおう」は「あかい、まるい、おおきい、うまい」の頭文字をとって命名された。

リンゴ箱の中に熟したリンゴを見つけたら、すぐに箱から出せ」と言われる。熟したリンゴからは「果物の成熟ホルモン」と呼ばれるエチレンが放出され、他の果物を成熟させる。柄のついた方を下にすると発生量が多くなる。接ぎ木で増やした果樹園は遺伝的に同じなので、自家不和合性があると、別の品種を植えるか、花粉を集めてこないと、実ができない。
「自家不和合性」:自分の花粉が自分の花にあるメシベについても、タネをつくらない性質。

ナシの「二十世紀」は研究所や果樹園でなく、松戸市の民家のごみ捨て場で生まれた。1888年、13歳の松戸覚之助氏に発見され、育てられ、名づけられ、普及された。

アンデスメロンはアンデス山脈とは関係なく、日本で作られ、「安心して栽培、食べられます」という意味で、「安心です」からアンデスになった。

世界三大美果は、マンゴーマンゴスチンチェリモヤ(日本での栽培品種は「アテモヤ」)。


私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

美しく、美味しそうな写真付きで(その多くは高野フルーツ提供)、私の場合は、原産地や効用成分、メシベとオシベなど実のなる仕組みの話は飛ばしてパラパラ見て楽しんだ。


田中修(たなか・おさむ)
1947年京都府生まれ。京都大学農学部卒業、同大学大学院博士課程修了。スミソニアン研究所博士研究員などを経て、現在、甲南大学理工学部教授。
主な著書に『植物はすごい』『ふしぎの植物学』(中公新書)、『入門たのしい植物学』(講談社)などがある。


目次
温州ミカン 種なしミカンの秘密
イチゴ 品種改良で誕生した新品種「スカイベリー」
リンゴ 「自家不和合成」とは?
ブドウ フレンチパラドックスの謎
モモ 「魔よけの果実」とは?
ナシ 英語名は「砂のようなナシ」
カキ なぜカキは品種改良されないのか
オウトウ 「佐藤錦」のタネを育てたら?
メロン マスクメロンとマスカットの関係は?
スイカ 英語名は、「水分の多い瓜」
パイナップル パイナップルは、リンゴ味?
バナナ メモに使えるバナナの皮 収穫されるのは、緑色
レモン 橘類で生産高1位
キウイ 1本では、実がならない果樹
ブルーベリー 目にやさしいアントシアニン
クリ ブランドは接ぎ木で増やす
ビワ 「タネなしビワ」の誕生
イチジク 世界最古の栽培作物
コメント
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