hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

舞城王太郎「イキルキス」を読む

2010年10月17日 | 読書2
舞城王太郎(まいじょうおおたろう)著「イキルキス」2010年8月、講談社発行、を読んだ。

表題作「イキルキス」と、「鼻クソご飯」、「パッキャラ魔道」が入った短編集。

イキルキス
中学校の同じクラスの女子6人が続けざまに謎の突然死を遂げる。学校が休みになる大混乱の中、突然クラスのアイドル系女子の八木千佳子が主人公福島を尋ねてくる。
謎の死や、謎の鐘の音の不思議はほっとおかれ、倉の中のやりたい盛の中学生男子とためらいの女子の言動がおもろい。

鼻クソご飯
冒頭、鼻クソを食べる話しが延々。飛ばし読みしても、その後、幼い弟を殺された恨みで、わけの分からない暴力沙汰に走る俺。

パッキャラ魔道
ハリウッドのCG映画で見るような車の多重衝突。そのなもの文章で読んでいてもオモロない。この交通事故をきっかけにバラバラになっていく家族。



舞城王太郎(まいじょうおおたろう)
1973年福井県生れ。覆面作家。
2001年「煙か土か食い物」でメフィスト賞受賞しデビュー
2003年「阿修羅ガール」で三島由紀夫賞受賞
「好き好き大好き超愛してる。」「ビッチマグネット」が芥川賞候補
ほかに「暗闇の中で子供」「世界は密室でできている。」「熊の場所」「九十九十九」「山ん中の獅見朋成雄」「みんな元気。」「SPEED BOY!」などの作品がある。



私の評価としては、★☆☆☆☆(一つ星:無駄)

おそらく初めての一つ星。ひそかに大化けを期待していた舞城王太郎も、二度芥川賞候補になりながら、慎太郎にボロクソに言われて(単なる想像です)やけになり、もとのハチャメチャ、安直路線に戻ったのだろう(無責任な決めつけです)。

既成概念への挑戦といっても、ただ汚いこと、エロいこと、えげつないことを書き並べれば良いとは思えない。もともとの舞城王太郎作品には、子供っぽさ丸出しの郷愁があり、例え、残酷な殺しであっても、突き抜けた心地良さがあった。

この本は、最初の「イキルキス」だけが、舞城の良い点を出しているが、あとの2作品は疾走感はあるが、ただ汚い。
初出を見て、謎が解けた。3作とも「群像」だが、「イキルキス」2008年7月号なのに、「鼻クソご飯」2002年12月、「バッキャラ魔道」2004年5月とかなり前の著者がただ荒々しかった時代の旧作なのだ。


コメント
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