ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

そっちの方がお似合いだ

2012-01-27 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
能子「これ…ロザリオ…」足元に転がるネックレスを拾い上げた。当時、奥州は海外貿易が盛んで、シルクロードから運ばれたペルシャ近郊の宝物を納めていた。
義隆「ロ ザ リ オ?」を繁々と見つめて、
能子「きれいね…」アラビア唐草(アラベスク)模様が刻まれ、その中央に青玉が付いていた。
義経「天の主に祈るんだと」ひょいっと、能子からロザリオを引ったくり、
能子「…あの、日の丸に書いた文字…」
“Pray For Japan”
「あれも、主様への祈りですか?」
義経「あれは、お前への祈りだ。二度と玉蹴りしないようにって、な」
能子「は…、すみません」頭を下げたから、ジャラ…と、
義経「男の玉、潰すなッ」妹の首からロザリオをかけた。
白無垢にロザリオが映えて、昔見た西洋の聖母マリアが、
能子「素敵ね」妹と重なって見えた。
義経「俺には無縁のものだ、お前らにやるよ」
珠「おねぇ様と、お揃いッ」珠ちゃんの傍に座って、ロザリオの赤石(ルビー)と、
能子「きっと、主様の御加護があるわ」私の首に掛かる青石(サファイヤ)とを並べた。
義経「義隆、珠ちゃんと戻って…」
義隆「?」
義経「先生と兄ちゃん、連れて来い」
義隆「う…うん」珠ちゃんの手を取って「行こっ」二人で宴会場に戻った。
その後を目で追って、義経「たくッ」斎藤の痕跡を確認して…「何、考えてんだ」
能子「いけませんか?」斎藤を追って来た事を叱責しているのかと思ったら、
義経「あのな…、この時代、一妻多夫って、」
能子「二人を好きになっては、いけませんか?兄様だって…」
義経「ま…」そこらへん、何とも言えず…「上手くたち回れ」
能子「源平旗…、ありがとうございます」今度はお礼のために頭を下げた。
ジャラ…と珠が鳴って、義経「なぁ、知ってっか?」首から下がるロザリオに手を伸ばした。
能子「え?」と顔を上げた聖母の面影が不思議そうな顔をした。
義経「景教ってな、自刃しちゃいけねぇんだぞ」と、ロザリオから手を放して、能子の脇の与一の懐剣を鞘ごと抜いて「お前には、そっちの方がお似合いだ」真剣を没収した。