ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

傷モンの売りモン

2012-01-18 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
おいッ、売れなくなったらどうするッ。
う、売る?
うちには、金がない。弟たち、腹空かせて…、お前なら、メシ、食える。
そ…、そんな、おとう、義母(おか)ぁ…私、や…
咲良、お前も男ならな。
12歳になった。その日に、私は売られた。
愛想の無い子だね。ほら笑ってみな。
いいかい?男の前だけでも笑って。目ぇ瞑ってりゃ、すぐ…済む。
目を閉じ…、
なんだぁ?傷モンかよ、ほかの禿(かむろ・10代の遊女)に替えてくれ。
…すみません。
何で黙ってたんだい。そんなじゃ…商売になりゃしないよ。…手元でもしてな。
はい…。
旦那ぁ、ちょっと傷あるけどいい子なんだ。どうだい?
あん?なんでもいい、連れて来い。
あいよ。
気の良さそうな御男(おひと)だよ。好きなったフリして、愛想しな。可愛く転んでみせて、
馴染みにしな。王子様になってくれるよ。
王子様…、この傷を見たら、どう思いますか?
…さぁ、行っといで。
ドン、背中を押されて、
「斯波さん、私の、」着物を、グッと掴んで、左胸を出して「…汚いですか?」
斯波「…。だから、出した」その胸の傷痕は…、
すみか「私…、何も、してないです」
斯波「あぁ」
すみか「でも、汚いん…です」
斯波「すみか…」
“お前は、今日からすみかだ、いいな”
「そんなんじゃ…末摘花になる」
すみか「末摘花さんになれば、きれいになれますか?」