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山遊びの日々

山スキー、沢登り、クライミングの備忘録

北岳バットレス 第4尾根

2009-09-23 19:36:36 |  クライミング


秋の大型連休のアルパインクライミング、第2戦目は念願の北岳バットレス4尾根へ。


マッチ箱をバックにリッジを登る、ようさん&SK専務。

■平成21年9月22日、23日
■同行メンバー:ようさん、SK専務
■ルート:
(22日)広河原11:15~白根御池小屋13:47
(23日)白根御池小屋3:30~バットレス沢出合~bガリー大滝下5:19~第4尾根取付き6:30~北岳山頂10:30~白根御池小屋12:15~広河原14:30

いつかは行きたいバットレス。一度は行きたいバットレス。
まあ、そのうち行くでしょうと思いつつ、計画が実現するまで随分長い時間が経ってしまった。

今回登るのは、日本の由緒正しきアルパインルートの定番である、バットレス第4尾根。
標高3000mのクライミング、そしてなんと言っても、北岳山頂直下に突き上げているのが最大の魅力だ。

しかしこのルート、人気があるゆえにシーズン中は大混雑、大渋滞でも有名なのだ。
なんとかその日1番に取り付きたいと考え、皆が帰るであろう5連休の最終日、23日に計画実行とした。

目論みは見事に当たった。
先行パーティーもなく、その日1番で取り付くことができた。
後続1パーティあったようだが、ほぼ貸切状態で静かなバットレス登攀を満喫することができた。

(22日)
芦安市営駐車場10時30分の乗合タクシーで広河原へ、そこからベースとなる白根御池小屋まで、2時間半の行程だ。
テント泊装備とクライミングギアでずっしりと重いザックを担ぎ、喘ぎながら樹林帯の急登を歩く。

そういえば、この登りは高校2年の夏山合宿で北岳から塩見岳を縦走した時以来なのだった。
もう30年近く昔の話だ。
今よりはるかに重い荷を背負っていたと思う。肩に食い込むキスリングに腕が痺れ、辛さを紛らすため好きな音楽を頭の中で鳴らしながら歩いていたことを鮮明に思い出した。
あの時の自分と今の自分、歳はとったけど山に向かう気持ちは変わっていないのだろうか?


白根御池のテント場に到着。
やはり空いていた。
暗くなるまでの時間、ビールを飲んだり昼寝したり、思い思いに過ごす。

(23日)
3時半に出発。
暗闇の中、久々のヘッドランプ歩行で大樺沢二俣から左俣に入り、40分ほどでボルダーのあるバットレス沢の出合に到着。
これを詰めて、30分ほどでバットレスの下部岸壁であるbガリー大滝下に到達した。
この頃ちょうど明るくなり、ロープを結んで登攀を開始する。


bガリー大滝1ピッチ目。

2ピッチでbガリーを抜け、一旦ロープをほどき、4尾根の取り付まで緩傾斜帯をトラバースする。
想像していたより長い歩きを終えると、岩に「4」と赤ペンキで書いてある取り付きに到着。


1ピッチ目は出だしのクラックが核心。
痛いフットジャムをきめて突破する。


2ピッチ目の階段状のフェース。


3ピッチ目





4ピッチ目。大樺沢を眼下に高度感のあるクライミングを楽しむ。


5ピッチ目。
出だしの垂壁は、4尾根の2つ目の核心部。
フリークライミングの楽しさが味わえる。


5ピッチ目の垂壁を抜けると、高度感のある超快適なリッジとなる。
ボチボチ始まった紅葉を眺めながらの登攀は爽快。
このピッチの終了点がマッチ箱の頭である。

マッチ箱の頭からコルまで懸垂下降20m。


6ピッチ目は、マッチ箱をバックにリッジを登る。
このころからガスが上がってくる。

7ピッチ目は枯れ木テラスを越え、簡単なスラブを50mいっぱいに伸ばし、適当なところでピッチを切る。
この上、簡単なスラブ帯が続くが、問題なさそうなのでここで登攀終了とする。

スラブ帯から草つきの踏み跡に入り、意外に長くてきつい急登を30分ほどで頂上直下の稜線に飛び出した。


山頂で記念撮影。
すっかり濃いガスに覆われていた。

下山は、肩の小屋から草すべりを経て御池小屋へ、休みもそこそこにテントを撤収して広河原に14時半に到着。

予定よりも大幅に早く帰路につくことができた。






錫杖岳 前衛壁 1ルンゼ

2009-09-20 20:51:24 |  クライミング


秋晴れの天空にそびえ立つ錫杖岳

■平成21年9月20日(日)
■ルート: 中尾温泉口6:20~クリヤ谷登山道~錫杖沢~錫杖岳1ルンゼ取付8:40~終了点12:10~同ルート懸垂下降~取付14:00~中尾温泉口16:21
■同行メンバー:SK専務

秋の大型連休、2つのアルパインクライミングの計画を立てているが、その第1弾。
昨年7月は左方カンテを登ったが、今年は前衛壁の初登ルート、1ルンゼをSK専務と登攀した。

岩も硬く、難度もお手ごろ。秋晴れの中、快適なフリーを楽しむことができた。

松本を朝4時半に出発、中尾温泉口の無料駐車場は既に満車状態。奥に何とか押し込み、クリヤ谷登山口を出発する。
錫杖沢から踏み跡に入り、30分ほどで1ルンゼの取り付き点に直接出ることができた。

先行に1パーティ、4人組が登っていた。
準備をしていると、後から2人組が到着する。
あいさつを交わしてから我々も離陸開始。


1ピッチ目。(Ⅳ+ 専務リード)
凹角の左側のフェースを登る。
壁は見た目より立っていて、40mが長く感じる。

2ピッチ目(Ⅴ 私リード)
出だしの数メートルの細かいフェースが核心。
迷わずスリングをつかんで、A0で突破する。
あとは、傾斜の落ちたスラブを50mいっぱいに伸ばす。


3ピッチ目。(専務リード Ⅳ-)
スラブ状からカンテを直上


右側の立った壁がV字状岩壁

4ピッチ目(私リード Ⅲ)
ルンゼから簡単なスラブを左上
50m目目いっぱい伸ばす。

5ピッチ目(専務リード)
ルート図ではここから右の凹角のハングを人工で越えるラインとなっているが、我々は左側のフェースをフリーで登った。


6ピッチ目(私リード Ⅳ+)
最終ピッチ手前、スラブを直上してから浅い凹角を左上する。
先日買ったばかりのカム、BDキャメロットを適当に効かせながら快適に登る。

終了点で先行パーティーに追いつき、支点を共有させてもらう。


6ピッチをフォローで登る、専務。


この辺はなかなかの高度感が味わえる。

7ピッチ(専務リード Ⅳ)
チムニー状を大また開きで登り、終了点の草付横断バンドに到着。


懸垂下降開始。

4回の懸垂で取付きに戻ることができた。


八ヶ岳 稲子岳南壁左カンテ

2009-08-14 19:32:48 |  クライミング

■平成21年8月14日(金)
■同行メンバー:専務
■ルート:稲子岳南壁左カンテ(5P)
緑池入口林道ゲート6:05~しらびそ小屋7:15~稲子岳南壁取付点9:00~稲子岳山頂11:24~しらびそ小屋~緑池林道入口13:41

やっと夏らしい夏の到来を予感させるお盆ウイークとなった。
悪天候のため数週前から延期していた稲子岳南壁の計画を実行に移すことにした。

早朝、佐久市の某所に集合して稲子湯に向けて車を走らせる。
八ヶ岳方面はすっぽりと厚い雲に覆われている。
稲子湯が近づくにつれて天気は悪くなり、駐車場につくと霧雨が降り出す始末。
それでも今日の天候は回復傾向と信じて、緑池入口林道ゲートから歩き始める。


1時間ほどで森の中にひっそりと佇むしらびそ小屋へ到着。
2匹の犬が出迎えてくれた。

雨は止んだが、目指す壁はガスの中のようだ。
小屋から中山峠に向けて、南壁へのアプローチの踏み跡を探りながら登山道を歩き出す。
しかし、それらしき踏み跡や赤布を見つけることができず、かなり上まで登山道を上がってしまった。


途中、ガスが晴れて南壁の全容が見渡せるようになった。
完全に上がりすぎてしまったことに気付き、登山道を少し引き返し、適当な所から樹林帯に突入する。
樹林帯を少し進むと赤テープがちらほら見えるようになり、これに導かれながら斜面を登っていくと取り付き点に到着した。


1ピッチ目(Ⅲ+)
顕著な岩塔の左手を登り、30m程度でリングボルトが3本打ってあるビレイポイントに到着する。


2ピッチ目(Ⅲ)
凹角から右のディエードルを回り込むように登り、再び凹角に戻るラインだが凹角を真直ぐ登った方が面白い。途中に新しいペツルが1本打たれていた。

3ピッチ目(Ⅲ+)
凹角からチムニーを登りリッジ上に上がったところでピッチを切る。
チムニーの出口を左に回りこむワンムーヴが少しいやらしく感じた。
リッジの左はガラガラの斜面になっている。


4ピッチ目(Ⅳ)
リッジ上を少し登ってから凹角に入り、最後はかぶり気味の垂壁を乗越して岩塔の上でピッチを切る。

5ピッチ目(Ⅲ)
小岩塔をクラック沿いに登るとそこが終了点のテラスとなっていた。

ここから砂礫の斜面を少しあがり稜線に到着。
ギアをしまい、下山開始。


緑池と稲子岳南壁(帰路撮影)

このルートは、技術的に困難な箇所はなく、支点もよく整備されていた。
しかし、とんでもなく大きな岩がぐらぐら動くこともあり、浮石には細心の注意が必要である。


小川山 春の戻り雪&セレクション

2009-07-25 20:30:24 |  クライミング

■平成21年7月25日(土)
■メンバー:SK専務
■八幡沢「春の戻り雪」(3P、5.8)  屋根岩2峰南面「セレクション」(5P、5.8)

この時期、夏の定番といえば沢登りなのだが、今シーズンはなぜか濡れ岩(沢)より乾き岩(クライミング)の方に気持ちが行ってしまう。なぜだろう。

マルチピッチクライミングは、長いルートを数ピッチつないで登るクライミングである。岩を登る集中力に加えて、ルートファインディング、ロープワークやビレイワーク、懸垂下降など、様々な要素がぎっしり詰まっている。

一瞬のミスが事故につながる危険性が高いため無事に懸垂下降して、ロープの回収が終わるまで集中力を絶やすことはできないのである。

日常では味わえない、集中と緊張感(=非日常)が心地良く感じるのかもしれない。

先週の沢に引き続き、今週は私のリクエストで、SK専務と小川山の2大マルチピッチルートのうち、八幡沢「春の戻り雪」と屋根岩2峰「セレクション」を登った。

廻り目平へ向かう途中、小淵沢から野辺山まで、ずっと雨が降っていて絶望的な気分になったが、川上村へ入ると薄日が射してきた。
今日は天気の神様が味方してくれているのかもしれない。

天気予報があまり良くないせいだろうか、週末だというのにキャンプ場の駐車場はガラガラだ。

1本目は春の戻り雪を登ることにして、八幡沢を登る。
しかし、取り付きが分からないまま、かなり上部まで登ってしまい大幅に時間をロスしてしまう。
結局、取り付き点は林道から4つめの堰堤を越えてすぐ右のガレ沢を詰めたところにあった。


春の戻り雪 1ピッチ目のスラブ。
グレードは低いが、久々のスラブは怖い。


春の戻り雪 1ピッチ目をフォローで登る。


春の戻り雪 2ピッチ目もスラブ


支点はハンガーとチェーンでしっかりしており安心だ。


春の戻り雪 3ピッチ スラブからクラックを登り終了。
最後のクラックは支点がないのでナチュラルプロテクションが必要だ。

同ルートを懸垂下降2ピッチで取り付き点に戻る。

次のセレクションに登るため、すぐさま屋根岩2峰へ向かう。
屋根岩2峰は人気ルートが集中しているだけあって、数パーティーが登っていた。

セレクションにも先行パーティーがあるようだ。

1ピッチ目はクラックかフェースの選択ができるが、ここはクラック(5.8)を行くことにする。SK専務がリード。
苦戦しつつもカムをかましながらなんとか抜ける。
フォローの私も当然大苦戦。

ん~、クラックは難しい。


セレクション 2ピッチ目は長いスラブ(5.8)をひたすら直上する。私、リード。
結構ランナウトする。
怖い・怖いとつぶやきながら、ステルス・ラバーのフリクションを信用してジリジリ登る。集中力が限界に達する頃、終了点到着。

3ピッチ目は、チョックストーンのチムニーの簡単なピッチでテラスへ到達。


4ピッチ目はクラックからスラブを経て、上部に見えるフレアーにつなぐルート(5.8)。
クラックと、その上のスラブのワンムーブがかなり悪かった。
専務リード。

さて、ここから上部、5ピッチ目は大岩下をアンダーホールドでトラバースして6ピッチ目のクラックにつなぐルートと、そのままルンゼ状から頂上へ抜けるルートが選択できるが、我々は迷わず後者を選択して屋根岩2峰頂上へ抜ける。


屋根岩3峰
どこのルートだろうか。小さくクライマーが見える。


屋根岩2峰頂上にて
ここから懸垂下降50mギリギリ1ピッチで下まで降りる。

セレクションはクラック、スラブ、チムニーなどクライミングの様々な要素が凝縮された好ルートだ。
実は大昔?に登ったことがあるのだが、感想としては、前より難しく感じた。
つまりヘタ(身体能力の衰え)になっているということだろう。

クラックの攻略が課題として残った。



物見の岩(トレーニング)

2009-06-28 19:21:06 |  クライミング
■平成21年6月28日(日)
■メンバー:ようさん、SK専務、Sさん

先週の小同心・大同心クライミングの帰路の車中、もっとフリークライミングのスキルアップが必要でしょうとの反省から、今週は長野市郊外にある「物見の岩」で岩トレした。

まあ、たまにはこういう練習場所で、リラックスして皆でわいわい登るのも楽しいものだ。

この岩場は県警の山岳救助隊が訓練で使ったりすることで有名だが、フリークライミングのルートも数多くある。(「岩雪」にもトポが掲載されているほか、このルートを整備した地元の方の手書きトポがある。)

私の長野市の勤務先のオフィスの窓からも岩場の一部がよく見える。
しかしその窓は課長席のすぐ後ろにあるため、勤務中、「今日は誰か登っているかな?」とジーっと見ていると課長と目が合ってしまうこともあり、ちと具合が悪い。

これからのシーズン本番に向けていい練習になった。