山遊びの日々

山スキー、沢登り、クライミングの備忘録

南アルプス 三峰川~仙丈ヶ岳

2007-08-30 21:12:54 |  沢登り

■平成19年8月29日~30日
■コース:
(29日)林道大曲駐車場6:00~大横川出合~兎台谷出合~岳沢出合16:10(ビバーク)
(30日)岳沢出合6:40~無名沢~(地蔵尾根)~仙丈ヶ岳12:20~北沢峠14:40
■メンバー:ようさんと2名

■三峰川の源流行は、もう随分昔から温めていた「宿題」のようなものであった。
登攀具は一切持たず、テンカラ竿を振りながら流れをひたすら遡り、藪を掻き分け、仙丈の頂に立つ。
滝やゴルジュなどの悪場はなく、沢登りというにはいささか冗長かもしれない。
むしろ「沢旅」といった方がしっくりするかもしれない。
シンプルにゆったりと沢を楽しみたいと思い、しばらく日本を離れるようさんの壮行会を兼ねた「沢旅」がスタートした。
 
(大横川をすこし釣り上がってみる)

■三峰川源流への道は長い林道歩きから始まった。
この林道、大曲から先はゲートがあり車は入れないが、釣り師達はMTBや原付バイクで登っていくらしい。
「沢旅」はあくまで歩いて源流を目指す。
取水堰堤の少し先で林道は途絶えた。ここで沢靴に履き替え適当に渡渉しながら歩く。

(パールマークのきれいなイワナがかかった)

■岳沢出合から少し上がった右岸側にテントを設営する。
このすぐ裏手の斜面に踏み跡がついていたが、岳沢越の踏み跡かもしれない。
いつものようにビールを冷やし、薪に火をつけ、夜の準備をしていると雨が降り始める。
一時、テントに避難するが、小降りになったので再び焚き火の傍に腰を下ろす。
酒を飲み、渓の恵みを喰らい、瀬音を聞きながら眠りにつく。

 
(無名沢出合にて)

■朝、眼が覚めると雨が降っていた。
前線が北上してきたのかもしれないが、大雨になることはないと判断し、予定どおり行動することにした。
北上している沢が大きく東に屈曲する地点で無名沢が流れ込んでいる。三軒岩小屋沢には入らず、無名沢を詰めて地蔵尾根を目指す。
沢全体、緑のコケがびっしりと敷き詰められており、まるで日本庭園のような風情である。
踏み後に導かれるように登っていくと、いつのまにか進行方向が東にずれてしまい、地蔵尾根から派生する支尾根に出てしまった。
進路を修正し、支尾根をトラバースしていくと地蔵尾根の登山道にぶつかった。
あとで分かったことだが、岳人2007年7月号によると「無名沢の上部はケモノ道(鹿)が多数あり、迷いやすい。」とのことだった。
いずれにしても、まめにコンパスで方角を確認していればこういうことにはならなかったはずではあるが。
地蔵尾根は、現在は廃道に近いと聞いていたが、思ったよりもはっきりしており歩きやすかった。

 
(風雨の仙丈岳山頂)

■森林限界を越え、風雨が強まった稜線を黙々と歩き、ついに仙丈ヶ岳山頂に立った。
充実感はそれなりにあったが、山頂から来し方を振り返り、三峰川の長大な流れを見下ろしてみたいという夢はかなわなかった。

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高瀬川 東沢

2007-08-19 21:28:36 |  沢登り

■平成19年8月18日~19日
■コース:(18日)七倉~高瀬ダム~東沢入渓8:40~BP(1850m)14:00
             (19日)BP7:00~稜線9:40~東沢乗越10:15~中房温泉14:15
■メンバー:buchiさん、uさん、komaさん、nさん、中隆、t-正男、Y隊長

(8月18日)
あらかじめ車2台を下山予定の中房温泉にデポ。タクシーで七倉から高瀬ダムまで上がり、1ピッチの歩きで東沢に入る。
一の沢出合の取水堰堤を越えたところから魚影が走るようになり、早速、竿を出し始める。
しかしあたりはそれなりにあるものの、リリースサイズしかかからない。先行者の足跡もあり、ここは結構釣り人が入っているようだ。
上部に期待してここは先を急ぐことにする。しかし、上がれば上がるほどあたりは無くなる。「今日のおかずは・・・!」首脳陣に焦りの色が広がり始める。
途中、5mの2段の滝でロープを出す。2段目の滝は釜の左側からへつり気味に取り付く。
一見簡単そうに見えるが、全体的に岩が脆く、ひとつひとつ浮石をチェックしながら慎重に登る。
ふと、ザックの横にさしておいた竿をみると、穂先から5cmの部分がポッキリ折れているのに気が付いた。ショック。配慮が足りなかった。
上部の三俣を過ぎ、しばらくいった標高1850付近でビバーク適地を見つけ、ブルーシートを張る。
焚き火に火が付き、すぐさまビールで乾杯。この瞬間のために登っているようなものである。
下界の暑さからは想像もつかないが、夜の冷え込みは厳しく、シュラフカバーだけでは寒い。皆夜中に起きだして焚き火で身体を温めていた。
星が素晴らしくきれいな夜だった。

 
(二の沢出会の滝)

 (8月19日)
BPから東沢乗越まで標高差は約400m、源頭部が近くなると傾斜も増してきて、小滝が連続して出てくるようになる。
相変わらず岩も脆く、コケでヌメっているため、念のためロープで確保しながら越えていく。
標高1950m付近で右岸から枯れた沢が入ってきた。これが東沢乗越へ直登する沢かどうか判断に迷ったが、藪っぽくあまりにも貧相なので、もうしばらく本流沿いに上がってみることにする。
標高2100mあたりから雪渓が現れ始め、露岩に行く手を阻まれたところで藪こぎに突入する。
小1時間程度で一般登山者の声が聞こえ始め、すぐに登山道に飛び出した。
東沢乗越から東に標高差100m程上がったところだった。やはりあの貧相な沢を詰めるのが正解だったようだ。

 
(源頭部近くで小滝が連続)

 
(お助けヒモ大活躍)

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中央アルプス 中御所谷 西横川

2007-08-08 20:11:21 |  沢登り

■平成19年8月8日(水)
■コース:しらび平~入渓点7:20~長谷部新道10:20~ロープウェイ駅11:40
■メンバー:ようさんと2名


(花崗岩でフリクションが効く)

ようさんからお誘いのメールが入った。
先週やってしまった足の怪我がまだ痛いが、ロープウェイで下山できる中ア・西横川ならなんとかなると思い夏休みを取り決行することにした。
しらび平から5分車道を戻った橋から入渓する。
沢は花崗岩の白で明るい印象。しかも滝のすべてが直登でき、とても爽快だ。
途中のナメ滝でウォータースライダーごっごに興じたり、お花畑を愛でながら快適に遡行する。
奥の二俣を左に入り、30m滝をフリーで越えるとやがて枯れ沢になり、あっという間に長谷部新道に合流した。
この道は現在は廃道だが、それなりに踏まれており、沢屋にとっては極楽のトラバース道だ。
しかし、楽しいことばかりではなかった。
途中、大量の羽虫の攻撃に見舞われた。
首筋やシャツの中が虫だらけになり、一気に不快になってしまった。

ようさんは、救急救命士と看護士の資格を持ち、毎夏、常念小屋で医療ボランティアをやっている。
ようさんに怪我の状態を診てもらった。
「こりゃ、骨にヒビ入ってますね~。」との診断だった。


(滝の脇にあったお花畑)


(奥の二俣30m滝をフリーで直登)

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真川 ヌルイ沢~焼沢下降(その2)

2007-08-03 23:24:30 |  沢登り

■平成19年8月2日
■コースタイム:ビバーク地6:00~(ヌルイ沢)~胴技切戸9:20~(焼沢下降)~ビバーク地12:00~杉野沢橋14:30

本日も最高の沢日和だ。
ビバーク地から登山道を少し戻り、ヌルイ沢に入渓する。
ゴルジュ帯とはいってもさしたる悪場もなく、昨日ロープをFIXした4m滝を快調に乗り越す。
ルート図によると、泳ぎで取り付く釜を持った滝があるはずだが、特定できぬままあっさりと通過してしまう。落石で埋まってしまったのだろうか。
さすが豪雪地帯、標高1700mあたりで大きなスノーブリッジが現れる。
息を止め一気に下を潜り抜けるが、抜け口が滝になっており少しあせる。これは何度やっても気持ちのいいものではない。
ここから先、雪渓が沢を覆い、影火打方面へ続いていくが、我々は胴技切戸を目指して左俣へ入る。
快適な階段状の小滝群を通過し、源頭部はやぶ漕ぎもほとんどなく稜線に飛び出した。
ここから焼山方面へ小ピークを乗り越し、すぐさま下降路の焼沢に入る。
焼沢は下降で使われる沢で、大きな滝はない。藪に覆われた登山道を歩くより快適かも知れない。
ほどなく登山道に合流し、稜線からちょうど2時間でビバーク地到着。荷物をまとめて杉野沢橋に向けて登山道を下っていった。
この登山道、裏金山沢出会から上部は草が道を覆いつくし、原始に帰ろうとしている。
ルートファインディングが難しい渡渉も何度かあり、この道を知らぬ者が初見で通過するのはかなり難しいのではないかと思った。


(ヌルイ沢源頭部、快適な小滝が連続する)


(影火打山と胴技切戸(手前の鞍部))

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真川 ヌルイ沢~焼沢下降(その1)

2007-08-02 20:16:23 |  沢登り


(釜を攻めるY隊長)

■平成19年8月1日~2日
■メンバー:Y隊長と2名
■コースタイム:(8月1日)杉野沢橋7:40~某ビバーク地13:50~ヌルイ沢偵察

梅雨明け初日(後で知った)、雲ひとつない絶好の沢登り日和、真川の完全遡行を目指してY隊長と杉野沢橋をスタートした。
滝ノ沢出会いを過ぎてからゴルジュや滝の高巻きが2回あった。
いつもは右岸の登山道を通過してしまうので気が付かないが、意外に悪い。
もちろんこれには重要な目的があってのこと。Y隊長は餌で、自分は毛鉤を振りながら歩いた。

沢の渡渉中、滑ってコケてしまった。左手の竿をかばったため手を付くことができず、そのまま左足の脛を岩角に強打し出血。膝下が真っ赤に染まる。痛くてしばらく歩けなかった。殺生の罰が当たったのかもしれないと思いここで納竿する。

本日のビバーク地は、昨秋、地獄谷遡行の際に利用させてもらった場所である。
タープ設営後、明日予定のヌルイ沢偵察に出かける。
遡行図だと、泳ぎのある釜滝があるとのことだが、どうも見当たらない。
とりあえず4m滝にロープをフィックスして、ビバーク地に戻ることにする。

<反省>
竿を持ちながらの遡行は雑になりがち。
足の置き場などより慎重に行動するべき。
救急セットの消毒液が切れていた。
あらゆる事態を想定して医薬品の内容を更新すべき。



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