山遊びの日々

山スキー、沢登り、クライミングの備忘録

塩の道(大網峠越)

2007-10-28 21:24:10 |  古道歩き

 
(大網峠への登り)

■平成19年10月28日(日)

■メンバー:単独

沢が終わり、山スキーが始まるまでの間、10月後半から12月初旬までの端境期の企画として、塩の道を歩いて自宅(池田町)から日本海まで行こうと思い立ち、時間の空いた週末を利用して2年前から歩きつないできた。
一部、国・県で整備した「中部北陸自然歩道」を利用しており、完全な「塩の道歩き」ではないが、なるべく未舗装路を歩き、たくさんの峠を越えて日本海まで歩くことを主眼にやってきた。
昨年まで6回に分けて新潟県境の大網集落まで辿り着いたが、今回はいよいよ大網集落から大網峠を越えて越後に入る、「大網峠越ルート」歩いてみた。

■これまでの歩み
○平成17年10月
(第1回)自宅(池田町)~仁科神明宮~大町山岳博物館
(第2回)大町山岳博物館~三日町~木崎湖~中綱湖
(第3回)中綱湖~青木湖~佐野~飯森~白馬~松沢口(栂池)

○平成18年10月
(第4回)松沢口(栂池)~千国~小谷村郷土館 ※千国コース
(第5回)小谷村郷土館~下里瀬~大峯峠~長崎バス停

○平成18年11月
(第6回)長崎バス停~中谷大宮諏訪社~高町~銭上平~深原 ※高町越コース
     ~地蔵峠~乳房の木~大峠~長者平~大網~平岩駅 ※地蔵峠越コース

■今回のコース
○平成19年10月28日
(第7回)
平岩駅9:50~大網集落10:10~大網峠11:56~角間池~白池12:32~山口塩の道資料館13:14~根知駅14:22 ※大網峠越コース

車をJR大糸線平岩駅に停める。
平岩から大網までは前回歩いているので、今回はバスで行こうと大網行きのバスを待っていたが、小谷村営バスの運転手はこちらを全く見ることもなく、通過していってしまった。
ムッとしたが、たいした距離でもないので、仕方なく歩くことにする。

大網集落の少し手前にさしかかると、山から袋を提げたおばあちゃんが下りてきた。
塩の道の入り口を尋ね、歩きながら紅葉の様子、熊の状況などを聞いてみる。
「では。」と別れようとすると、おばあちゃんは「塩の道のおみやげだよ」と言って手に持っていた袋を自分に渡した。
中を見るとおばあちゃんが山で作ったという、駒打ちのナメコとヒラタケだった。
さらに、「シイタケもやるからちょっとおいで」と言われ、家までノコノコと付いていってしまった。

以前から大網は景観的に「美しい集落」という印象をもっていたが、おばあちゃんの人情に触れ、ますます大網ファンになってしまった。

これで気分も良くなり、一気に大網峠への登りに突入する。
峠までの山道はなかなかの急登だったが、紅葉したブナの森の中を歩く気持ちの良い道だった。


(白池。紅葉も見ごろ)

峠から越後側(糸魚川市)へ入ると、道もよくなり、看板やトイレなどハード面がよく整備されていたが、かえって古道の趣きを壊しているように感じた。


塩の道資料館から車道に出て、根知駅までとぼとぼと歩く。
残念ながら、期待していた西海谷山稜はガスっていて見えなかった。

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中谷川浅海川横沢

2007-10-19 21:12:24 |  沢登り

 

■平成19年10月19日(金)
■ルート:
浅海川入渓点6:04~横沢出合7:10~天狗原山稜線登山道12:07~浅海川入渓点P15:00
■メンバー:Y隊長と2名

今シーズンの沢納めは、浅海川横沢となった。
横沢は浅海川の支流で頚城天狗原山に突き上げている沢である。
2年前の7月に横沢に一度入ろうとしたのだが、本流の悪い滝に阻まれ中途敗退している経過がある。
今回、本流の悪い部分は右岸から高巻いて、あっさりと横沢に入ることができた。
横沢はそのほとんどの滝が直登できるが、フリークライミング的なムーヴで突破する滝も多く、源頭部まで連続する滝登りに飽きることはなかった。
源頭から登山道までの小1時間、根曲竹のやぶ漕ぎはなかなか手強かったが、途中ひょっこりと現れた池糖に心癒された。
下山後すぐに、冷たい雨で冷えた身体を雨飾山荘の露天風呂で温めた。


山の恵みナメコ。

 
天気予報どおり、午後から雨になった。
雨の紅葉もまたみずみずしくきれいだった。

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黒部川 下ノ廊下

2007-10-16 22:25:13 |  山歩き

■平成19年10月13日(土)~15日(月)

■ルート
(13日)八方山荘8:45~唐松岳小屋11:00~餓鬼山13:55~祖母谷温泉16:57
(14日)祖母谷温泉7:05~欅平7:44~水平歩道~阿曽原温泉小屋13:00
(15日)阿曽原温泉小屋5:01~旧日電歩道~仙人谷ダム6:05~十字峡7:50~白竜峡~8:50~黒部ダム12:56

■メンバー:単独

秋になると行きたくなる下ノ廊下であるが、欅平を始(終)点とするとアプローチが不便、交通費が高い、車の回収が大変など問題が多い。
しかし、八方尾根を登り、唐松岳を越えて祖母谷温泉に入るルートをとればアプローチや車の回収も問題ない。
しかも、1泊目を祖母谷温泉、2泊目を阿曽原温泉小屋にすることで、極楽温泉山行が組めそうである。
紅葉を愛でてつつ、温泉三昧の山旅を計画した。

(13日)
さすが紅葉シーズンというだけあって、リフト終点の八方第1ケルンから大勢の登山者が登っていく。
無名沢や唐松沢を眺めつつも、とにかく先を急ぐ。
稜線に出てからは唐松岳には行かず、唐松小屋横から餓鬼山尾根に突入する。
明るいうちにこの長い尾根を祖母谷温泉まで下りきることが今回の重要なポイントなのだ。
下り始めてすぐ、小屋の人が上方から「どこまでいくんですか~?」と聞いてくる。コースタイムで8時間。この時間に下り始める人はいないのだろう。
「行ける所まで。ダメなら避難小屋まで。」と曖昧な返事でごまかす。

 
(紅葉と剣岳)
尾根に入ると、静寂の世界。これまでの喧騒からやっと解放され、落ち着いた気分で歩いていく。
幸い天気もよく、前方にずっと剣岳が見えている。なかなか気分のいい下りだ。
結局、祖母谷まで誰にも会うことはなかった。

 
(大黒銅山跡。左の黒い山が鉱石?)

突然周囲に木の生えていない平坦地に出た。大黒銅山跡だ。朽ちたスコップとつるはしが落ちていた。坑口は餓鬼谷源頭にあり、明治から大正期にかけて操業されていたとのこと。
この尾根筋の道は、もとは富山川から大黒銅山へ上がる作業道を利用して、1986年に登山道化したものだそうだ。
随所に作業道の痕跡が見られる。

大黒銅山跡を過ぎると餓鬼山への登りにかかる。偽ピークがいくつもあり、精神的にも体力的にもつらい上り返しだ。
餓鬼山を越えて、しばらくで餓鬼山避難小屋に到着する。時間は3時半。
ここで泊まるという選択肢もあったが、やはり温泉に入りたいし冷たいビールも飲みたい。よし、祖母谷温泉へ行くぞと気合を入れ直し、「温泉・ビール」と何度も念じながら先を急ぐ。
なんとか暗くなる前に祖母谷温泉着。素晴らしいことにテント場のすぐ横が露天風呂。がんばって来て良かった。
温泉→ビール→夕食→温泉→ビールで就寝。

(14日)
今日は阿曽原小屋までコースタイム6時間なので、のんびり気分で出発する。欅平駅の横から急登40分で水平歩道に入る。高度計を見ていたが標高950mくらいをずっと行く、まさに「水平」なのである。
奥鐘山西壁が真正面に見える。すごい迫力でしばし見入る。

 
(水平歩道・大太鼓付近)
岸壁をくりぬいた道。
それにしてもよくこんな道を作ったものだ。
昨日、阿曽原に泊まった人たちが次々と降りてくる。

周囲に温泉の臭いが立ち込めてきた頃、阿曽原温泉小屋に到着。
テントを張って、さあ、温泉。
しかし露天風呂は改修中とのことで、5、6人しか入れない仮設の露天風呂だった。狭くてちょっと残念。
夕食の時間までバーボンをちびちび飲みながら、テントの中でゴロゴロと過ごす。

(15日)
夜中、雨が降っていたが、夜明け前には星が出ていた。
5時にヘッドランプをつけて出発する。
1時間ほどで仙人ダムに到着。いきなり巨大建造物に遭遇して違和感。
作業員宿舎の前を横切ると、食堂で朝食の準備をしているオバチャンと窓越しに目があった。
登山道はこの先でドアを開け、施設内に入るようになっている。なんとなく探検気分でおもしろい。
途中で横切ったトンネルからサウナの様な熱風が噴出していた。これが「高熱隧道」なのだろう。

 
(日電歩道)
「一転びで奈落の底」といわれる日電歩道。
幅は狭い所で60cmくらいで、丸太数本を渡しただけの箇所も多い。
足元に注意しながら歩くが、足下200mの黒部の激流を見ると目が廻りそうになる。


(十字峡)
程なくワイヤーのつり橋を渡ると、剣沢と棒小屋沢が十字に交わる十字峡に到着。
水量が少なかったのか、想像していたよりも小さく感じた。
テントが2~3張張れるスペースがあった。

 
(白竜峡1)
そして白竜峡に突入。
高度感はさほどではないが、岩がオーバーハングしていて、身体を谷側にのけぞらせて通過する箇所があり結構怖い。ザックが岩角に引っかからないよう、頭を岩にぶつけないよう注意して進む。

 
(白竜峡2)
このあたり、もっとも緊張した。壁に張ってある針金も当てにならない。沢登りだったら普通にロープを出しているところだろう。

 
白竜峡を過ぎると大ヘツリへ。道の崩壊で長い木のはしごを上り下りして大高巻きする箇所がある。難所はまだまだ続く。
黒部ダムを朝出発した人たちが、こちらに向かってくる。すれ違いも一苦労。

 
紅葉は期待はずれ。標高1,000m足らずの下ノ廊下は10月下旬頃が見ごろか?

榛ノ木平からようやく普通の河原歩きとなり、内蔵助谷出合で小休止。
疲れがどっとでてくるが、ダムまでもう一息だ。
黒部ダムへの最後の急登を喘ぎながら上り、ゴール。
トロリーバスで扇沢へ、あとはバス、JR、路線バスと乗り継いで車を回収した。

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