(2011年2月 西吾妻山)
転勤で12月から3月末まで福島市で暮らすことになりました。
信州の山とはしばらくお別れです。
「山遊びの日々(福島編)」発信できるかな?
■平成23年11月4日(金)~5日(土)
■ルート:
(4日)天竜スーパー林道通行止地点6:18~麻布山登山口6:47~麻布山8:54~前黒法師山9:51~バラ谷の頭12:14~黒バラ平12:45~黒法師岳13:32~黒バラ平(泊)
(5日)黒バラ平6:12~バラ谷の頭6:43~前黒法師山8:46~麻布山9:26~麻布山登山口11:00~林道通行止P11:53
岳人2006年10月号の特集「知られざるいい道を探せ座談会」の中で、ベストのテント場として南ア深南部の黒バラ平を挙げる人がいた。
そのメルヘンチックな名前にも魅かれ、いつか黒バラ平で一夜を過ごしてみたいと思っていた。
もともと深南部の黒法師岳と丸盆岳は以前から気になっていた山であったが、アプローチの遠さや大嫌いなヒルの問題があり、これまで足を踏み入れたことがなかった。
もうそろそろヒルも姿を消す時期だろうと思い、黒法師岳に登り、黒バラ平でテント泊&宴会という計画を実行してみた。
【アプローチ】
本来は黒法師岳の登路としてはもっとも一般的な戸中山林道終点から等高尾根を登るつもりで計画していたが、前日になって林道が台風による崩落で通行止めになっていることを知った。
急遽、ネットで別ルートをいろいろ調べたが、岳人の2007年11月号の黒法師三山から寸又峡縦走の記事を参考に、麻布山から前黒法師山を経て黒法師岳往復の計画に変更した。
前日の夕方に自宅を出発し、飯田山本ICから三遠南信道天龍峡ICで経由でひたすら南下し、冶部坂峠を越えて静岡県に入る。
水窪町からスーパー林道天龍線に入り、入山口の「野鳥の森」を目指すが、2km位手前で崩落により通行止めとなっていたため、そこで泊まる。
【4日】
翌朝、かなり危険な状態の崩落工事現場を通過し、野鳥の森から麻布山への登山道に入るが、しっかり整備された道で少し拍子抜けする。
今回、黒バラ平で水が採れるというが万が一に備えて水3リットル+酒1リットル+生野菜・肉等、鍋の具材を担いだため、ザックが重くペースは上がらない。
麻布山を過ぎると踏跡程度となる。
落葉や倒木で次第に不明瞭となるが基本的に尾根を外さないように歩けば問題ない。
前黒法師山の先、ブナと針葉樹の森1539mの平坦地付近で地図上の道はなくなる。
コンパスで方向を見定めルートファインディングしながら進むが、ガスったら嫌なところだろう。
この先尾根は一気に高度を上げ、標高2010mのバラ谷の頭に飛び出した。
バラ谷の頭からの大展望は素晴らしい。
正面に黒法師岳、その左に丸盆岳、不動岳が連なり、奥には光岳が見える。
そして足下には笹の海、黒バラ平が広がっている。
山頂には道の整備をされているという地元の方4名が休んでいた。
山で最近よく使うあいさつで、『「おひさま」の安曇野から来ました。』と言うと、
「ああ、「おひさま」!いいところから来たね。何でまたわざわざこんなところに・・・」と不思議がられた。
バラ谷の頭のすぐ南に「日本最南の2000m地点」がある。
おもしろいので記念撮影する。(右の写真)
再びバラ谷の頭で大展望をゆっくり楽しんだ後、笹に埋もれたかすかな踏み跡をたどり黒バラ平へ降りる。
あこがれの黒バラ平に到着。
どこにテントを張ろうか迷うが、とりあえず荷物を置いて黒法師岳を往復することにした。
黒法師岳山頂の標識は南アルプスでよく見るタイプのもの。
そして、ここには三角点マニア(?)垂涎の日本で唯一の「×印三角点」がある。(通常は+)
マニア達になで回されたのか、すり減って×印が見えにくい。
黒バラ平に戻りシンボリックな木の前にテントを張る。
まだ時間は早いが、まずはビールで乾杯。
カレー鍋の準備をしながら焼酎をちびちび飲む。
夕方、テントに入り酒を飲んでいると目の前を立派な角を持った鹿が悠然と通過して行った。
さらに夜になると複数の鹿がテントの周りをガサガサうろついていた。
闇の中、鹿の悲しげな鳴き声が響き渡る。
ここはケモノの領域なのだ。
【5日】
往路を戻る。飲み過ぎで少し具合が悪い。
朝は晴れていたが、天気は下り坂で次第に雲が厚くなっていく。
前黒法師山の登りで、黒法師岳日帰り往復という地元浜松の俊足登山者とすれ違い、少し立ち話しをした。
深南部に精通している彼の話を聞いているうち、いくつかのおもしろそうなラインが見えてきた。
残雪期か晩秋のヒルのいない時期にまた来ようと思う。
最後の林道の崩落箇所は工事中のため、野鳥の森の観察道を使って高巻き、適当なところから急斜面を下降して車に戻った。
さて、これからしばらくは冬支度と仕事がらみで週末忙しく「山遊びできない日々」が続きそう・・・