『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章 築砦  215

2014-02-24 07:57:10 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
パリヌルスはアレテスと話し合った。
 『アレテス、軍団長の望むところは、そういうことだが、どうだ?』
 『判りました。トピタスの件は了承しました。トピタスに代わる者にアタテルがいます。この者に私の代理を務めさせます。四日後には身体をあけます。それから、漁獲の件ですが、これはギョリダに責任担当させます。事情の聴取は、直接、聞いていただいてもよいように計らっておきます』
 『判った。それはありがたい、願ってもないことだ、ありがとう。キドニアの集散所に水揚げした魚を持ち込む事が提起されてきている。ここ二、三日の間にオロンテスも加えて話し合おう。いいか』
 『判りました。いいことだと思います。忙しくなりそうですね』
 アレテスとパリヌルスの打ち合わせは終わった。
 オロンテスのイリオネスへの返事は遅れていた。彼は、明後日から始まる集散所における業務の事で体制を整えねばならず多忙を極めていた。部下の中から適材の者を選び、責任担当を決め、陣容を整えていった。彼が気にかけて注力した分野は、小麦を石臼を使って製粉することであり、粉を練りあげパン生地を作ることであった。焼き上げに関しては自信を持っていた。彼はパン生地にブドウ種を含ませて一晩寝かせたパン生地で焼いたパンが、ただ粉を練って焼いたパンと味が違うことに気づいていた。理屈はわかってはいなかった。ただ『旨いパン』これが彼の目指しているテーマであった。小麦を粉にして、それを練って焼き上げる、彼の秘策はここにあった。口にする食感、味は『これでよし!』目指した水準に到達していた。『まあ~、あとは日々の研鑽にありか』との思いに至った時、イリオネスから話の合ったクリテスの件を思い出した。『この件は五日後に引き継ごう』と仕事を段取りした。
 パリヌルスは、ギアスの手のすいている時間に懸案として頭にこびりついている、舟艇建造の責任担当の件を打ち合わせた。
 『ギアス、判ったな。出来るだけ早く、お前に代わって舟艇の運行を任せることのできる者を決めてくれ。ここ七日以内にだ、判ったな』
 『判りました』
 『あ~あ、それから、オロンテスからの要請だ。キドニアの集散所への物の輸送と係りの者を運ぶ仕事にあたってもらいたい。キドニアの船溜まりまで、どれくらいの時間がかかるかだが、お前の思いは?』
 『そうですね、往復で2時間といったところでしょうか。朝と夕の2回となると結構な時間となります』
 パリヌルスは、ギアスの言うことにうなづいた。


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