『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY         第4章  船出  1

2011-11-07 07:24:34 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスは、無念に耐えて戦火に焼かれるトロイをあとにしてから今日まで、過ぎ去った日々を思い起こしていた。
 今日、砦の者たち全員に向かって、建国の途につくことをどのように伝えるかを思案した。
 イリオネスは、まぶたを閉じて考えているアエネアスの表情をうかがいながら静かに声をかけた。
 『統領、全員が揃いました。そろそろ始めてはと思いますが』
 イリオネスの声にアエネアスは思案を解いた。
 『そうか、全員揃ったか』 と言いながら周りを見回した。
 パリヌルス、オキテス、オロンテスの顔もあった。アエネアスは広場に集まっている全員を見ながら自分の決意を確かめた。
 決意は身体のあるべきところにしかとあった。その決意が身体中に拡がっていく。フオースに充ちあふれた決意が身体のすみずみまで拡がっていく。
 自分はここに集まっている全員、苦難をともにした同胞である、この大切な一国の民を統べていく統領であることを自覚した。
 『よしっ!イリオネス、始めよう』
 この広場に集まっている全員も、この総会が『ただならぬ総会』であることを悟っているようである。先程まで、あちこちで囁かれていた私語は絶えていた。
 広場に、イリオネス大声が響き渡った。


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