『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  340

2014-08-18 08:21:36 | 『次の一手』プレゼンテーション資料
 『おう、水か!判った。ちょっと待て』
 彼は奥へ入っていった。
 『おう、待たせたな、こっちだ。こっちへ来い!勝手知ったる他人の家だ』
 彼は先にたって、すたすたと歩いて館の横手へと向かっていった。
 『おい、アレテス、この井戸だ。くみ上げて入れていけ!』
 『ありがとうございます』
 『井戸はちょっと深い。深く掘らないと水脈に届かんのだ。イデーの山には木が生えておらんのじゃよ』
 『ほう、そうなんですか』
 アレテスはいぶかしさを込めて答えた。二人は、水袋に水を満たして礼を述べた。
 『おう、エドモンには、俺から礼を言っておく。今、俺たちは出る準備をしている、もう少々待っててくれ』
 二人は水袋を携えて浜へ引き返した。イリオネスには、スダヌスの意向を伝えた。
 『よしっ!ニケを海へだす。各自持ち場についたら点検だ、いいな。不具合がないか確かめろ!』
 アレテスが気合を入れた。彼らは点検した。
 『おい、ホーカス、舵の具合は?』『異常ありません!』
 『テトス、ピッタス、クリテスはどうだ?』『異常ありません!』
 『他は!』と言って見渡した。『異常なし!』『おう、よし!』
 彼は、イリオネスに向かって、異常なしの報告を終えた。
 そのタイミングを見計らったように、スダヌスとエドモン浜頭が姿を見せた。
 『おう、イリオネス、どうだな?今日は、マリアに向かう1刻半(3時間)余りの船旅だ。今日と明日はマリア辺りを見て歩こう。案内はエドモン浜頭に任せている、それでいいな』
 『判りました。エドモン浜頭、宜しくお願いいたします』
 『おう、泊りについては、向こうについてから決める、いいな。ところで風は、どんな具合だ?』
 『アレテス、どうだ?』スダヌスが声をかけた。
 『風は西かからです、追い風です。風に力はありません』
 『よし、判った。イリオネス、エドモン浜頭をニケに案内してくれ』
 『エドモン浜頭、案内いたします。ニケの船上に、どうぞ。一同は位置についています』
 エドモンが乗りスダヌスが乗り、漕ぎかた始めの掛け声で、ニケは東へ向けて波の上を滑り出した。


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