『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  105

2013-09-18 08:11:54 | 『次の一手』プレゼンテーション資料
 彼らは、朝食のパンの配布に取り掛かった。爽快気分で作業をこなしていった。
 皆が起きだしてくる。彼らが朝行事に向かう、足取りに軽快さが感じられた。彼らを前へ押す、彼らを牽引する未来への希望があった。見えない希望を追っている、見えない何かをかき分けて、一歩、前へ生きていくカタチである。希望の手さぐり建国の手さぐり夢探りであった。
 何かにつまづく、起きあがろうとする。それを阻む何かがある。彼らは、迷わず武器を手にして闘いを挑む、勝ち負けは眼中にない。彼らの強い味方は、潜在、顕在を問わない『俺は必ず勝つ!』を信じる力であり、それを祈るかカであった。
 この時代、彼らには神は存在していない。神は、上に立つ者、為政者たちの都合であり、我がままのために存在しているところがあった。為政者たち、領主たちは、成功、快事で己を誇示し、為政の失敗を神のせいにする。神を存在させることは彼らの便利であったのである。しかし、彼らは畏怖の念で神を頼りにした。自然の力は偉大であり、如何なる者も抗することができない、彼らは、神が存在しての仕業と考えていた。

 皆が歩を運ぶ、顔を合わせる、『おはよう』とあいさつを交わす、大きな声は朝のしじまを震わせた。朝行事の往復30分の歩きは、彼らの健康に資してくれるかもであった。彼らは道ですれ違う、朝のあいさつに加えて、朝行事道中の感想も言い交わした。
 『海までが遠いな』『と、思ったときに浜が目の前だった』このような光景で築砦予定地の第一日目の朝が明けていった。
 彼ら一族は、新しく収容した女たちを加えても女たちの人数は、50人余りと1割にも満たない男所帯であり気ままであった。それを維持する秩序と礼式、律と令をもって、彼らの行動を規律あるものとしていた。
 第一日目の朝である。新たな場所でもある。トロイ民族としての営みが始まろうとしている。彼らは、錯誤に気づくことなく、その営みを始めようとしていた。


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