『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  703

2016-01-28 05:36:40 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ヘルメスは、小島の北岸を瞬く間に走り抜けた。走り抜けたヘルメスは程よい地点で小島の西岸に沿って、南下へと進行方向を転換した。パリヌルスがギアスに指示する。
 『三角帆の風はらみを満帆状態にして南下してくれ。二段帆の上段帆を下段に展帆するのだ』
 パリヌルスは、ヘルメスの走りを体感して分析しようとしている。
 『おう、ギアス、ヘルメスを浜へだ』
 『判りました』
 ヘルメスは、浜へ帰り着いた。パリヌルスは、艇から降り際に一同に声をかけた。
 『ギアス、ご苦労であった。そして、漕ぎかた一同!大変ご苦労であった。礼を言うぞ!君らもヘルメスの走りを体感した、君らなりにヘルメスの走りを分析して、ギアス班長と話し合ってくれ。俺も機会を作って、君らと話し合おうと考えている。以上だ。ご苦労であった』
 浜には宵が訪れようとしている頃合いであった。
 浜に降り立つパリヌルス、張り番の者がオキテスからの伝言を伝える、彼は、軍団長の宿舎へと急いだ。
 統領とイリオネスら四人はパリヌルスの来着を待っていた。オキテスが声をかけてくる。
 『おう、パリヌルス、待っていたぞ。話は大体終わった。明日、五人でキドニアのスダヌスを訪ねる。朝市のキドニア便で行く。ここで話し合ったことは後から話す。まあ~、明日、スダヌスと話し合う段取りだ』
 パリヌルスは、打ち合わせに遅れて駆け付けたことを一同に深く詫びた。イリオネスが声をかけた。
 『おう、パリヌルス、重要な打ち合わせ、出席に欠ける、万やむを得ない事情のない限り、許されない。いいな』
 『はい、判りました。申し訳ありませんでした』
 『よし!これで打ち合わせを終わる』
 打ち合わせの終了が告げられた。
 『おう、オキテス、オロンテス、すまなかった、許せ』
 『おう、あの木片ことが解った。数字は通貨の量であり、その通貨単位が『ドラクマ』という単位だそうだ。知る人ぞ知るだ。知っていれば解ることであったのだ。それにしてもだ、統領も軍団長も知っていた。しかし、それがどれほどのものかについては、彼らも不明であるといっていた。どっちみち、明日、スダヌスとの話し合いだ』
 『解った。明日、朝、浜で会おう』
 『おう、判った。オロンテス、ごくろう』
 オキテスはそのように言って、三人はそれぞれの道を歩み始めて別れた。