『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  693

2016-01-14 06:16:34 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『オキテス、明日、五人で打ち合わせだ。オロンテスがキドニアから帰ってきてからでいい』
 『判ろました。その旨、二人に伝えます』
 『おう、そうしてくれ』
 オキテスは、イリオネスに報告を終えて、浜へと下った。
 『おう、パリヌルス、今日の会議の事について話す。集散所方から新艇建造用材の支払額が決まった旨の報告があった』
 『我々にとって、その条件はいいのか?』
 『その総額が高いのか、安いのか、どうなのか、俺には、さっぱり解らん。それについて、明後日だが統領以下五人、お前を含めてキドニアへ出かけることになった。宜しく頼む。それから新艇の価格は15日後には決定する。その間に会議は2回やることになっている、というわけだ』
 『明後日のキドニア行きの件だが用件は?』
 『それだが、ちょっと恥ずかしいが、時勢の勉強だ。スダヌスから、ガリダ方に支払う用材価格の事を主題にして、時勢、世の中の事についての勉強会といったところだ。俺らが知らない時勢、世の中の変化について知ろうということだ』
 『そうか、解った。俺らが世の中の変化から置いてけぼりになっているということか』
 『まあ~、言うなればそういうことだ。世の中が変化している、軍団長の感慨は、こうであった。社会の変化に追随、順応するより、社会を変えていく、その主役になりたいと言っている。うなずける、その主役になりたいと俺も思う』
 『解った、解った。おう、オキテス、俺から伝えておきたいことがある。ギアスの発想でだが、ヘルメスに手を加えている。ドックスには指示をした。事後報告だ、よろしく頼む』
 『解った。明後日のキドニア行きの件、よろしく頼む』
 『おう、了解!』
 話は終わった。日没までには間がある。二人は歩み始めた。ヘルメス改造の場へと足を運ぶ。
 ヘルメスの改造の場にはドックスの指示する声が飛んでいる。20人余りの者たちが総がかりで作業に取り組んでいる。緊張とみなぎるパワーを感じる。ドックスが二人に近づいて、声をかけた。
 『両隊長、これはなかなかのいい思い付きです。合理性があります。艇全体に対する帆柱の設定位置については私が決めました。ヘルメスの全体的なバランスを考えての設定です。事情によってですが、新艇の設計変更をしなければなりません』
 『解った。明日の試乗、ギアスからの報告、我々の試乗による結果次第で、即、その作業に取り掛かる。ドックス、その予定でいてくれ』
 『解りました。いい結果が出ればいいですね』