春の午後の陽ざし、きらめく波がしら、程よい追い風、ヘルメスを駆けるように海上を走らせた。
安定した航走である。スダヌスは、スオダの浜を出航してパノルモスまで二刻半(5時間)余りと考えていた。ヘルメスは、その航走時間を約二刻(4時間)に短縮していた。四角横帆一枚の船と比べて、航走安定性の優れているヘルメスの走りにスダヌスは大いに感動していた。
ヘルメスは、パノルモスの停泊予定地に無事到着した。人が手を入れた停泊地ではない。ごく自然な状態の船溜まりといった停泊地である。
宵のころに着くであろうと考えていたスダヌスの考えをくつがえして、太陽がその身を西に沈める頃に停泊地に着いたのである。
スダヌスは、ギアスとヘルメスの停泊について話し合った。
『ギアス、今夜から4泊または都合によって5泊をこの船溜まりに停泊することになる。ヘルメスをその間、浜に揚げて過ごす。その件について、この浜を仕切っている浜頭に話をつける。安心してくれ。それから、夕食については話の決着次第で決める。いいな』
彼は、その様に言い置いてイリオネスの傍らに来た。
『イリオネス、この浜の浜頭には大まかに話はしている。だから、安心と言えるかというとそうでもない。一緒に来てくれ。そこでちょっと訊ねるが、持参したパンに余裕があるか?心づくしの手土産に使いたい』
『判った、余裕はある』
『そうだな。出来れば20個ぐらいあればいいのだが、どうだろう?』
『あ~あ、それは、大丈夫だ。直ぐ準備させる』
イリオネスは、ギアスをよびよせ、事の次第を告げて準備をさせた。
『おう、スダヌス、準備はできたぞ!』
『そうか。行こうか、イリオネス』
イリオネスは事の次第をアヱネアスに告げてスダヌスとともに浜頭の居宅に向かった。
浜頭の居宅の庭に、スダヌスの末の息子のイデオスが待っていた。
スダヌスが声をかける。
『おう、イデオス、今、着いたぞ』
『おう、親父、道中、何事もなく、、、』
『おう、何事もなく、無事、着いた。お前こそ、ご苦労だったな。話は通じたか?』
『え~え、なにも案じることはありません。停泊の事、山行の事、みな話してあります』
『そうかそうか、ご苦労であった。浜頭、今、いるのか?』
『え~え、浜頭は親父の到着を待っています』
『おっ!そうか、よし!行こう』
三人は浜頭の居宅の戸口に立つ、スダヌスは奥に向かって声をかけた。
安定した航走である。スダヌスは、スオダの浜を出航してパノルモスまで二刻半(5時間)余りと考えていた。ヘルメスは、その航走時間を約二刻(4時間)に短縮していた。四角横帆一枚の船と比べて、航走安定性の優れているヘルメスの走りにスダヌスは大いに感動していた。
ヘルメスは、パノルモスの停泊予定地に無事到着した。人が手を入れた停泊地ではない。ごく自然な状態の船溜まりといった停泊地である。
宵のころに着くであろうと考えていたスダヌスの考えをくつがえして、太陽がその身を西に沈める頃に停泊地に着いたのである。
スダヌスは、ギアスとヘルメスの停泊について話し合った。
『ギアス、今夜から4泊または都合によって5泊をこの船溜まりに停泊することになる。ヘルメスをその間、浜に揚げて過ごす。その件について、この浜を仕切っている浜頭に話をつける。安心してくれ。それから、夕食については話の決着次第で決める。いいな』
彼は、その様に言い置いてイリオネスの傍らに来た。
『イリオネス、この浜の浜頭には大まかに話はしている。だから、安心と言えるかというとそうでもない。一緒に来てくれ。そこでちょっと訊ねるが、持参したパンに余裕があるか?心づくしの手土産に使いたい』
『判った、余裕はある』
『そうだな。出来れば20個ぐらいあればいいのだが、どうだろう?』
『あ~あ、それは、大丈夫だ。直ぐ準備させる』
イリオネスは、ギアスをよびよせ、事の次第を告げて準備をさせた。
『おう、スダヌス、準備はできたぞ!』
『そうか。行こうか、イリオネス』
イリオネスは事の次第をアヱネアスに告げてスダヌスとともに浜頭の居宅に向かった。
浜頭の居宅の庭に、スダヌスの末の息子のイデオスが待っていた。
スダヌスが声をかける。
『おう、イデオス、今、着いたぞ』
『おう、親父、道中、何事もなく、、、』
『おう、何事もなく、無事、着いた。お前こそ、ご苦労だったな。話は通じたか?』
『え~え、なにも案じることはありません。停泊の事、山行の事、みな話してあります』
『そうかそうか、ご苦労であった。浜頭、今、いるのか?』
『え~え、浜頭は親父の到着を待っています』
『おっ!そうか、よし!行こう』
三人は浜頭の居宅の戸口に立つ、スダヌスは奥に向かって声をかけた。