ギアスとドックス、二人の胸の内では新艇の名前が浮かびつ沈みつしていた。太陽が水平線を焼いて身を沈めていった。星が目覚める、月が夜の海を照らした。
夜が明けてくる、星が眠りに就く、浜が日輪の第一射を待ち受けている。目覚めた者たちが姿を現し始める、渚がざわつく、太陽の第一射が今日の幕を切って落とした。それを待ちかねていたのか、浜に賑わいが沸きあがってきた。
今日のキドニア行の担当はセレストスである、オロンテスが出航手配の指図をしている、舟艇に荷が積まれていく、出発の時が来る。セレストスが声をあげた。
『オロンテス棟梁、出発します。統領、山行のパンの件、よろしくお願いします』
『おう、判っている。今日のキドニア、頼むぞ!』
『判りました』
潮騒にかき消されないようなセレストスの大声であった。舟艇は白く航跡を残して浜を離れていった。
オロンテスは、浜に姿を見せたパリヌルスとオキテスと話し合っている。ドックスとギアスの二人は、新艇を海に出すタイミングを計っている。
『なあ~、ギアス、こんな時待ちのときは胸ドキだな』
『私も一緒です』
オロンテスの計らいで焼かれたパンが運ばれてくる。①~⑥まで番号が付されている大袋が新艇の傍らに置かれた。
『ギアス、お前に言っておく、番号順に手を付けるのだ。①は第一日目の分だ。②は第二日目の分だ。三日目までの分については、ささやかではあるが副菜を入れてある。四日目以降の分からには副菜は入っていない。その旨、。軍団長に伝えてくれ。以上だ、よろしくな』
『判りました。ありがとうございます。腹をすかして艇上で食べる昼は格別です』
パリヌルスが近づいてきて声をかけてくる。
『ギアス、今日もいい空模様だ。風の具合をどう読んでいる?』
『風具合ですか、そうですね。半島の突端までは、陸風を受けての漕走ですが、東へ転進して、程よい西からの追い風になるかならないかを気にしています』
『お前の操船には、安心している。航走にいい風が吹いてくれるように祈っている。望むより祈りには力がある。謙虚に祈る、これが物事解決の道を拓いてくれる。まあ~、そういうところだ。それを忘れるでないぞ』
パリヌルスとギアスは、旅の前途を思いやって目を合わせた。
夜が明けてくる、星が眠りに就く、浜が日輪の第一射を待ち受けている。目覚めた者たちが姿を現し始める、渚がざわつく、太陽の第一射が今日の幕を切って落とした。それを待ちかねていたのか、浜に賑わいが沸きあがってきた。
今日のキドニア行の担当はセレストスである、オロンテスが出航手配の指図をしている、舟艇に荷が積まれていく、出発の時が来る。セレストスが声をあげた。
『オロンテス棟梁、出発します。統領、山行のパンの件、よろしくお願いします』
『おう、判っている。今日のキドニア、頼むぞ!』
『判りました』
潮騒にかき消されないようなセレストスの大声であった。舟艇は白く航跡を残して浜を離れていった。
オロンテスは、浜に姿を見せたパリヌルスとオキテスと話し合っている。ドックスとギアスの二人は、新艇を海に出すタイミングを計っている。
『なあ~、ギアス、こんな時待ちのときは胸ドキだな』
『私も一緒です』
オロンテスの計らいで焼かれたパンが運ばれてくる。①~⑥まで番号が付されている大袋が新艇の傍らに置かれた。
『ギアス、お前に言っておく、番号順に手を付けるのだ。①は第一日目の分だ。②は第二日目の分だ。三日目までの分については、ささやかではあるが副菜を入れてある。四日目以降の分からには副菜は入っていない。その旨、。軍団長に伝えてくれ。以上だ、よろしくな』
『判りました。ありがとうございます。腹をすかして艇上で食べる昼は格別です』
パリヌルスが近づいてきて声をかけてくる。
『ギアス、今日もいい空模様だ。風の具合をどう読んでいる?』
『風具合ですか、そうですね。半島の突端までは、陸風を受けての漕走ですが、東へ転進して、程よい西からの追い風になるかならないかを気にしています』
『お前の操船には、安心している。航走にいい風が吹いてくれるように祈っている。望むより祈りには力がある。謙虚に祈る、これが物事解決の道を拓いてくれる。まあ~、そういうところだ。それを忘れるでないぞ』
パリヌルスとギアスは、旅の前途を思いやって目を合わせた。
