パリヌルスとオキテスの朝は早かった。『おっ、おはよう』の挨拶も簡単に交わし朝行事を終えた。
マクロスとソリタンが舟艇の傍らに立っているのを目にした。オキテスが寄っていく。
『おう、両人、お前ら早かったな、ご苦労。ではお前ら二人に託す用件を伝える』
オキテスは、ガリダに伝える要件を説明した。
『以上だ。二人とも判ったな。相手方からこちらに出向くと言わせるのだ。その様に話を運べ』
『判りました』
マクロスが返事をする。
『それから、これだ。ガリダに渡してくれ。ガリダへの贈り物だ。焼きあがったパンが入っている。話のスベリがよくなる』と言ってパンを入れた袋を渡した。
パリヌルスとギアスが言葉を交わしている。
『この知らせをスダヌスに伝えると、彼は喜ぶぞ。欣喜雀躍の知らせだ』
今日も西風が吹いている、舟艇が浜を離れていった。
舟艇を見送ったパリヌルスとオキテスは、今日の予定を打ち合わせた。
『判った。朝めしを終えたら軍団長の宿舎で話し合おう、あの場所が何かと話しやすい。木板、木炭が手許にあるからな』二人はうなづき合って浜をあとにした。
アヱネアスは、イデー山行きを決めたことについて、複雑な想いを抱いていた。その想いを抱いての朝行事である。
父アンキセスは、この山行に賛意を示している。アンキセスは、その賛意の思惑をアヱネアスに押し付けてきていた。彼は、父の想いとは裏腹の想いを胸に抱いていた。己の想いと父の想いを天秤にかけて思考した。
『父の想いにうなづける点もある、だがだ、俺の想いは、父の考えている次元とは次元が違う。俺には俺の考える次元がある。俺の肩には民族全員の生命と建国千年の未来がのっている。このクレタが建国の地であるか、そうではないのかを正しく判断して決断しなければならないのだ。そのためにイデー山の出向くのだ。我が意を貫く!』
彼は春の海に身を浸して決断した。
『俺が迷えば、民が迷う。進むべき道を誤ってはならないのだ』
昇る太陽を仰ぎ見て立つべき迷いを断ち切った。太陽がはねた。腕に抱いたユールスが震えた。
イデーの山のゼウスの神域に立つ自分をまぶたに描いた。
マクロスとソリタンが舟艇の傍らに立っているのを目にした。オキテスが寄っていく。
『おう、両人、お前ら早かったな、ご苦労。ではお前ら二人に託す用件を伝える』
オキテスは、ガリダに伝える要件を説明した。
『以上だ。二人とも判ったな。相手方からこちらに出向くと言わせるのだ。その様に話を運べ』
『判りました』
マクロスが返事をする。
『それから、これだ。ガリダに渡してくれ。ガリダへの贈り物だ。焼きあがったパンが入っている。話のスベリがよくなる』と言ってパンを入れた袋を渡した。
パリヌルスとギアスが言葉を交わしている。
『この知らせをスダヌスに伝えると、彼は喜ぶぞ。欣喜雀躍の知らせだ』
今日も西風が吹いている、舟艇が浜を離れていった。
舟艇を見送ったパリヌルスとオキテスは、今日の予定を打ち合わせた。
『判った。朝めしを終えたら軍団長の宿舎で話し合おう、あの場所が何かと話しやすい。木板、木炭が手許にあるからな』二人はうなづき合って浜をあとにした。
アヱネアスは、イデー山行きを決めたことについて、複雑な想いを抱いていた。その想いを抱いての朝行事である。
父アンキセスは、この山行に賛意を示している。アンキセスは、その賛意の思惑をアヱネアスに押し付けてきていた。彼は、父の想いとは裏腹の想いを胸に抱いていた。己の想いと父の想いを天秤にかけて思考した。
『父の想いにうなづける点もある、だがだ、俺の想いは、父の考えている次元とは次元が違う。俺には俺の考える次元がある。俺の肩には民族全員の生命と建国千年の未来がのっている。このクレタが建国の地であるか、そうではないのかを正しく判断して決断しなければならないのだ。そのためにイデー山の出向くのだ。我が意を貫く!』
彼は春の海に身を浸して決断した。
『俺が迷えば、民が迷う。進むべき道を誤ってはならないのだ』
昇る太陽を仰ぎ見て立つべき迷いを断ち切った。太陽がはねた。腕に抱いたユールスが震えた。
イデーの山のゼウスの神域に立つ自分をまぶたに描いた。