『統領、軍団長、艇はいい追い風をはらんで走っています』
『らしいな。幸運と言える』
イリオネスが答える。
艇は三枚の帆に風をはらんで航走していた。
『軍団長、この艇の船速は、舟艇に比べて速い、驚きの速さです』
『そうか、そうか。この速さは俺も初めての速さだ。驚きだ』
『軍団長、ちょっと話してもいいですか』
『おう、いいぞ、何だ?』
『ドックス棟梁とも話したのですが、艇に名前をという話です』
『艇に名前を?』語尾があがった。
『何か思いついた名前でもあるのか?あるなら言ってみろ』
『ドックスの言い分では、統領と軍団長に考えてもらえと言っています』
『そう言って、ほう、そうかとすぐ思いつくものでもない』
『ドックスと私で考えた名前は<ヘルメス>はどうだろうかと、、、』
『ほう、<ヘルメス>か。意味は解らんでもない。呼ぶ語呂の問題がある』
『そうですね』
『統領と話して考える』
『判りました。宜しくお願いします。あの小船に付けた<ニケ>はいい呼び名ですね。あの船にぴったりです』
軍団長と統領は、何かを話し合っている。ギアスは艇の名づけは急ぐことではないと艇の進行方向右手に見える半島の景色に目を向けた。
半島の北東端が見えてきた。カジテスに指示を出す。
『カジテス、ここは半島の岸に沿って進むのだ、いいな。転進の指示を出すまではな、判ったな』
『判りました』
航走は順調である。朝、浜を出て一刻(2時間)、スオダの浜への中間地点に到ろうとしていた。半島の北東端に到った。
『もうそろそろだな、南に転進するのは、、、、』
ギアスは、半島の北東端の崖を目にした。彼は木板に描いた図をカジテスに見せて、
『おう、カジテス、この方向に転進してくれ、艇は中央の帆をおろし、漕走する』
『了解しました』
ギアスは風の具合を呼んだ。指示を発した。
『中央帆柱、降帆!漕ぎかた開始!』
櫂が泡立てる。艇は艇速を落とすことなく波を割った。
イリオネスは、方角時板を取り出して、時の進み具合を測った。その結果をアヱネアスに伝えた。
『統領、この艇速で進めば、スオダの浜に就くのは、昼少し前くらいではないかと思われます。この艇の走りが考えていた速さより速い。その一言です』
『そうか、速い。その一言だな』
アヱネアスもイリオネスも少しばかり興奮気味であった。
『らしいな。幸運と言える』
イリオネスが答える。
艇は三枚の帆に風をはらんで航走していた。
『軍団長、この艇の船速は、舟艇に比べて速い、驚きの速さです』
『そうか、そうか。この速さは俺も初めての速さだ。驚きだ』
『軍団長、ちょっと話してもいいですか』
『おう、いいぞ、何だ?』
『ドックス棟梁とも話したのですが、艇に名前をという話です』
『艇に名前を?』語尾があがった。
『何か思いついた名前でもあるのか?あるなら言ってみろ』
『ドックスの言い分では、統領と軍団長に考えてもらえと言っています』
『そう言って、ほう、そうかとすぐ思いつくものでもない』
『ドックスと私で考えた名前は<ヘルメス>はどうだろうかと、、、』
『ほう、<ヘルメス>か。意味は解らんでもない。呼ぶ語呂の問題がある』
『そうですね』
『統領と話して考える』
『判りました。宜しくお願いします。あの小船に付けた<ニケ>はいい呼び名ですね。あの船にぴったりです』
軍団長と統領は、何かを話し合っている。ギアスは艇の名づけは急ぐことではないと艇の進行方向右手に見える半島の景色に目を向けた。
半島の北東端が見えてきた。カジテスに指示を出す。
『カジテス、ここは半島の岸に沿って進むのだ、いいな。転進の指示を出すまではな、判ったな』
『判りました』
航走は順調である。朝、浜を出て一刻(2時間)、スオダの浜への中間地点に到ろうとしていた。半島の北東端に到った。
『もうそろそろだな、南に転進するのは、、、、』
ギアスは、半島の北東端の崖を目にした。彼は木板に描いた図をカジテスに見せて、
『おう、カジテス、この方向に転進してくれ、艇は中央の帆をおろし、漕走する』
『了解しました』
ギアスは風の具合を呼んだ。指示を発した。
『中央帆柱、降帆!漕ぎかた開始!』
櫂が泡立てる。艇は艇速を落とすことなく波を割った。
イリオネスは、方角時板を取り出して、時の進み具合を測った。その結果をアヱネアスに伝えた。
『統領、この艇速で進めば、スオダの浜に就くのは、昼少し前くらいではないかと思われます。この艇の走りが考えていた速さより速い。その一言です』
『そうか、速い。その一言だな』
アヱネアスもイリオネスも少しばかり興奮気味であった。