『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第1章  トロイからの脱出  33

2009-04-22 08:22:14 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 夜明けには、一刻の間がある。ヘレノスが率いる一隊は、辛うじて、予定した闘いの場に、敵の一隊よりも一息だけ早く到着したようである。彼らは、暗い藪影に身を隠し、息を整えた。隊を二つに分け、敵を前後から襲撃できる闘争形態を考えて身を隠した。波うちの波の音が、かすかに耳を打つ、船舶の係留地まで、あと200メートルぐらいに迫った地点であった。
 敵の一隊が接近してくる、17~18人の小部隊であった。
 先頭のいかつい男が、くぐもった胴間声で兵たちに指示をした。
 『一人残らずやれ!それがすんだら、船に火をかけろ!ぬかるな!』
 彼らは、松明を持ち替えて、抜剣した。彼らは、ヘレノスたちの潜んでいる目の前を通り過ぎた。ヘレノスの指示が走った。彼らは、敵を背後から襲撃した。
 突如、撃剣の打ち合う音が夜明け前のしじまを破って、鳴り響いた。

第1章  トロイからの脱出  32

2009-04-22 08:00:44 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『隊長!急ぎましょう。奴らを倒さなければ、俺たちが生きられない!』
 兵たちは、自分の為すべきことを心に決めている。兵たちは、不退転の決意に燃えた。彼らは、懸命に疾駆した。闘いの場に、一時も早く着いて、有利な条件で敵との闘いを展開することが敵を征する。
 それが出来るか、出来ないかの微妙な距離であった。彼らは、懸命に力の限り、道を急いだ。
 彼らは、生きていくことの切所に立って行動を起こした。
 彼らの行く手の闇が、闇と感じられなくなっていた。