私は、自動化をネガティブに扱ったような印象を与えています。
食品工場で生産される定番商品(ナショナルブランド)率は、高くても20%以下です。
目先を変えて次から次に新製品が開発されます。
チョコが、痩身に効くという本が発売されると、生産体制をそれにシフトしなければなりません。
朝のテレビで、この商品が健康に良いとなると、午後には食品スーパーの棚からその商品は消えてしまいます。
よって、食品工場は出来る限り自動化しますが、究極は半自動です。
重いものを運ぶ倉庫では、速度が要求される包装機では、正確さが必要な充填機では、
極小のチップ(コンピューター)精密生産では、機械や自動化が採用されます。
しかし、それはどれも「部分最適」です。
優れた機械や速度が速くて正確な自動化は、前後に在庫の山を作ります。
経営者は、高価な機械を入れたら使いこなそうとします。
機械を有効活用するために、機械の前に原料や資材の山ができるのです。
強力な生産性アップのため、優れた機械の後には、仕がかり品(中間製品)の山ができます。
バランスが崩れた工場では、優れた機械に使われるようになるのです。
周りで働く作業員は疲れてしまい、生産性は落ちるのです。
この頃は、半自動の工場を造ってきたことを反省しています。
半自動とは、半分人手でカバーすることを言います。
商品のトッピングとかデコレーションがそれに当たります。
ところが、人手が確保できないのです。人材育成が出来ないのです。
人の能力に合わせて、機械が間引き運転されているのです。
人口は減少しています。高齢化です。
たくさんの外人のパートさんが働いています。
商品は、めまぐるしく変化しています。
若い人は、一生懸命やっています。
だけど幸福感は乏しいのです。
私は、部分最適ではなく全体最適をめざした工場作りをして来ました。
今また考えています。
時代の変化に対応できる柔軟性とチャレンジ精神を持った若者を育てることが、
重要だと考えています。なにもかも人がやることなのです。
これで良しはないのです。
半自動の部署に、わずかな工夫(流れを広げ、全体速度を抑えるなどのボトルネック解消)が、
できたら、全体の生産性を下げなくてもよくなります。適正な速度は、商品の品質を高めます。
流せばよいのではありません。つくれば良いのではありません。
知恵を絞ったものづくりは、誇りが持てるのです。お金だけでは幸福は得られないのです。
私は、若者をどう育てるか、これに集中したいと思います。
私が作った工場が、機械の残がいにならないよう、工夫を重ねたいと思います。
若者と一緒に考えます。今は、若者が頼もしく思えるようになってきました。
また、しばらくして、このテーマで熟考したいと思います。
長い文章を読んでくださり、ありがとうございました。
2015年1月17日