つい先ごろ,勤務しているミュージアムの玄関先でトゲナナフシを見かけました。ここ辺りでは,ときどきトゲナナフシを見ることがあり,これまでに記事にしたこともあります。掃き掃除をしていると,飛んで来ていた落ち葉の間にいたのです。
スタッフの一人が「風で飛ばされて来たんでしょうか」とびっくりしたようにいいました。しかし,そんな簡単に飛ばされはしないはず。
トゲナナフシを日なたにおいてみると,踏ん張るような姿勢をとって歩きかけました。それも意外と速いのです。
考えてみると,冬の今生きていること自体ふしぎな話。晩秋に産卵を終えると,息絶えます。もしかすると,暖かめの冬なのでここまで生き延びているのかもしれません。
せっかくなので,飼育ケースに入れてしっかり晴れるのを待ち,生きていそうなところにおいて撮影を試みることに。自然に戻すのはそのあとにしてもよいでしょう。
そうして日暮れ時。ミュージアムの近くの山裾で撮影しました。お気に入りの遠望の効くところで。
日が沈もうとしています。
山際から陽がからだを照らします。
しばらくするとトゲナナフシが寒気に包まれます。ずっとずっと元気でいればと祈りながらその場を離れました。