ツチイナゴは成虫で越冬する大型のバッタ類です。成虫越冬するというのは,生活サイクルが他のバッタと半年ずれているということで,たいへんめずらしい例です。
晩秋にたまたま公園の枯れ草の下で見つけたものですから,「よし越冬を観察しよう」と思い立って,そうすることに。わたしなりの知見がどんなふうに得られるか,たのしみです。それが飼育ケースで,無事に越年。枯れ葉の間にスズメノカタビラを植え,リンゴを入れているだけ。これでよいのだろうかと心配なのですが,まあなんとか元気でいるようです。冬なので,活動は鈍く,ほとんどじっとしているだけです。
動きが鈍いことを利用して,近接撮影をしました。撮っているとき,たびたびピョーンと飛ぶのでびっくり。からだは完全には眠っていないのです。自然界ではどうなのでしょう。この場合は,触られて目を覚ましたのかもしれません。
後脚の動きが目を引き付けます。
左前から撮りました。堂々としたスタイルです。頭部・胸部・腹部がすらりと並んでいます。
近寄ると,からだを覆う細毛が目に付きます。
強力なバネである後脚です。いかにも頑丈で,敏捷性に富んでいそう。
顔をアップして撮りました。毛が印象的です。複眼の縞模様も個性的です。
正面から見た顔です。複眼と口器がまことに立派! 司令塔としての感覚器官の集合体,消化器官のスタート地点である口,それらは生命維持の中枢でもあります。
活動時期の撮影では手に負えそうにありません。今の時期に感謝。