冬に咲くサザンカは目を引きます。花が少ない季節だけに,赤や白,ピンクの大型の花が目に飛び込んできやすいのです。
それを見ていると,ハチやハエのなかまが見つかります。冬に活動する昆虫が意外にも多いことに驚きます。冬の昆虫を撮ることに関心を抱いてきたわたしにとっては,この季節は大いなる撮影チャンスです。
前栽のサザンカにキイロアシナガバチが来ていました。寒いので動きは緩慢。
それを捕えてスタジオで撮ることにしました。低温だと動きがとてもゆっくりしているので,慌てることはありません。攻撃してくる恐れもまったくなし。
正面からすまし顔を撮りました。すましているようでいて,なんとも恐ろしい表情に見えます。風格でしょうか。この種固有のいかつさなので,文句がいえる筋合いはありません。
頭をわずかにひねり気味の瞬間です。
「おーっ,これはばっちりとすましましたね」。そんな誉めことばを掛けたくなる一瞬。
撮影には辛抱強さが必要でした。触覚と翅がやたらと動くのです。触覚は微動。翅はあるリズムをとるようにして上にあがったり元に戻ったり。あとで確認すると撮影がうまくいっていたのは10回に1回程度でした。動きのある被写体を撮るにはじつに苦労がいります。