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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ウマノスズクサの花(続)

2013-07-12 | 花と実

7月7日(日)。二日が経ちました。№1の蕾は,萼(がく)がウマノスズクサ特有の特徴を示し始めました。大きく反っています。壺状の部分の下に,子房がくっきり見えます。壺に収まったメシベとオシベ,それに子房の中の胚珠を見たい気持ちにかられました。でも,我慢我慢。 

花への入口が見たくて,正面から撮りました。入口が窪んでいます。 

№2は,二日前の№1と,大きさ・かたちともにそっくりです。 

花の咲く茎には,蕾が連続して付くようです。茎の先端近くを見ると,小さな葉の付け根に,側芽とともに蕾のあかちゃんがかすかに見てとれます。ふしぎな程の,おかしい程の“小ささ”です。茎が伸びるにつれて,この調子で蕾が増えていくのです。 

7月9日(水)夕方。№1の萼は一段と大きく反り返って見えます。入口は間もなく開く準備ができていることを教えてくれているような姿です。

翌朝はどんな姿をしているか想像するだけでわくわくします。

 


ジャガイモの種子

2013-07-07 | 花と実

先頃,ジャガイモの実をたくさん入手できました。親子野菜栽培体験事業にご参加の家族にお分けし,残りを自分の手元に置きました。実から種子を取り出して,それを蒔こうと思ったからです。これまで,市販の袋入り種子(商品名『シードポテト』)を植えた経験はありますが,自分で採種したものを蒔いたことはありません。

熟して白っぽくなってきたものには,たぶん充実した種が含まれているでしょう。それに期待を込めて発芽実験にチャレンジ,です。

取り出し方は簡単。裏漉し器の中で揉み潰して種を取り出します。肉質をできるだけ残さないようにして,器に入れたまま乾燥させました。

そうして,きれいにしたのが下写真の種子です。かなり集まりました。数百個はあるでしょう。もしかすると,1千個を超しているかもしれません。このうちのどれかは発芽するのではないでしょうか。播種するときがたのしみです。

それまでに,まずは充実した種子を選別しよう思っています。 

 


ウマノスズクサの花

2013-07-05 | 花と実

ウマノスズクサはジャコウアゲハの幼虫の食草です。我が家の庭には,アゲハの飛来がたのしみで,ウマノスズクサをたくさん植えています。露地にも植木鉢にも,です。

ところで,この草の花なのですが,家で見たことはありません。理由は,花が咲くまでに幼虫が食べ尽くすからです。ふしぎなほどに幼虫の食欲が旺盛で,どんどん食べて,茎もなくなります。

今年は,昨年よりもっとウマノスズクサを増やしました。庭を,アゲハの園にしたいと思ったからです。竹の支柱が林立しています。この支柱をウマノスズクサが巻き上がっていきます。

4月から5月にかけて伸びたウマノスズクサは,それでも,幼虫にほぼ食べ尽くされました。これでは花を見ようにも見る機会ができません。二化目の卵が産み付けられている今,やっと食草の勢いが復活してきました。

それで,花が付く確率が高まるのではないかと密かに期待していました。案の定,7月5日(金)にその蕾を数個見つけたのです。期待していて,そのとおりになるというのはまったくうれしいものです。 

最下部に付いた蕾(№1)は付け根基部からの長さが3.5cm。萼(がく)の中ほどに突起状のものができています。開口部分が準備されているのです。

この蕾や,他の茎に付くかもしれない蕾に,これから目を向けておこうと思っています。せっかくですから,結実に至るまでの様子について随時経過報告することにします。

発見時に感じた特徴は以下のとおりです。

  • 蕾の付く茎にはまとまって付く。
  • 下部のものから順次膨らむ。
  • 全体が緑色なので,葉や茎と見分けが付きにくい。
  • 子房はわずかに細長く膨らんでいる。

ラッパ状に完成した際の器官全体が萼(がく)で,壺形の部分にオシベとメシベがあります。ということは,さらにその下部,つまり壺の外側に子房があるわけです。かたちは細長いので,まだ花茎とほとんど区別が付きません。でも,よく見ると少し太くなっているのがわかります。

五つの蕾を,下部から写真に撮りました。残り四つを載せておきます。

№2は基部からの長さ1.5cm。

№3は基部からの長さ1cm。 

№4は基部からの長さ3mm。 コンバージョンレンズを付けて撮影。

№5は茎先端付近に付いています。基部からの長さ4mm。  

 

 


キクバヤマボクチとの出合い

2013-01-06 | 花と実

山道の斜面で,アザミの枯れた頭花を見かけました。

一本の細い茎の先に数個の花の名残りがありました。とても弱々しい茎で,ノアザミのそれとはずいぶん違っています。葉も,枯れたままではありますがちゃんと付いています。棘はありません。

冠毛は見た目,とても頑丈で硬そうです。実際,大した硬さです。外敵から身を守るのにかなりの威力を発揮していると思われます。

調べると,どうやらキクバヤマボクチのようです。漢字で書くと“菊葉山火口”。『山に咲く花』(山渓ハンディ図鑑)の解説に「山地の草原や林縁に生え,高さ0.7から1㍍になる多年草」とあります。 

和名にボクチ(火口)ということばが使われているので,気になりました。発火法で使うホクチを指すことばだからです。他のことばと合成で使われているため,たまたま濁音になったのでしょう。

では,このことばが使われた事情があるのでしょうか。

もちろん当たってみました。結果,すぐにわかりました。その昔,この植物の葉を乾燥させて叩いた後,あの裏にある毛を集めて火口にしたのだそうです。これはヨモギからモグサを作って利用するのとそっくりではありませんか。

わたしは,元気な葉の裏をそう思って見たことがありません。今度元気な姿を見たら,それを確認して,できれば実際に毛をたくさん集めたいと思います。そんな気持ちで参考までに一株だけ家に持ち帰って植木鉢に植えました。たくさんの葉が手に入らなくても,まずはちょっと確認できればしめたものです。 

もう一つおもしろいことがあります。この植物は愛知県以西にしか分布していないのだそうです。岐阜県から北海道にかけてはオヤマボクチ(雄山火口)が生えていて,四国には両方があるといいます。

さらに,ハバヤマボクチ(葉場山火口)という種もあるようです。やはり名に“火口”が付いているのは,発火時に利用されたことを表しているのでしょう。

こんなわけで,キクバヤマボクチとの出合いは印象記憶として脳裏に刻まれることになりました。

 


ツバキの実

2012-12-05 | 花と実

近くの公園を訪れたら,ツバキの木で作られた垣根が目に入りました。サザンカの垣根なら珍しくないのですが,わたしには「ツバキとは珍しい!」と思える景観でした。

近づいて行くと,実がいくつも生っていました。たいていの実は赤っぽく色づいていました。緑の葉の間に,あちこち頭を覗かせています。赤っぽくというのは,けっして単調な赤一色なのではなく,微妙に赤に移行していくグラデーションの色合いが見えるという意味なのです。

中には,実が割れて種子が覗けるもの,皮が大きく反り返るように3裂に裂け,種子が落ちてしまったものもありました。

そのうちの1個だけ持ち帰って写したのが下の写真です。 

分厚い果皮に包まれて,順調に育ってきた種が3個。果実の先には,メシベの名残りがちゃんと残り続けています。まるで,へその緒のようにして。

別の実で,皮の一片が落ちたものがありました。種子の守られ方がよくわかります。

また別の実で,皮が大きく開いたものがありました。種の一部が残っています。さてこの実の場合,種はもともと全部で何個入っていたでしょうか。6個? 

大外れ! 答えは9個。 一つの部屋に3個詰まっていたのです。

しかし,すべての実に9個入っているわけではありません。一部屋に3個とは限らないからです。一つの部屋に2個入っているもの,たった1個のもの,部屋ごとに数が異なっているものがあります。

これらすべてに共通しているのは,合計が3の倍数だということです。「部屋ごとに数が異なっているのに3の倍数とはおかしい!」と思われるかもしれません。ちゃんとした訳があります。よくよく観察していくと,うんと小さくなった種の名残りが見つかります。ちょうど,バナナの中心にある種の名残りとそっくりです。

それを勘案して数えると,結局3の倍数になるのです。

 


ラッカセイの収穫

2012-11-30 | 花と実

親子栽培体験で,ラッカセイを育ててきました。過日,それを収穫しました。硬い黒土で栽培したので,実が付きにくいと思っていたのですが,予想外にできました。夏の暑い時期,土寄せをしたのも効を奏したものと思われます。

このラッカセイは,保護者から栽培希望が出て作られたと聞きます。「聞きます」なんて書いて妙ですが,わたしは後任として引き継いでいるのです。それはともかくとして期待したように収穫ができたことは何よりです。

わたしは,これまでにラッカセイを何度か栽培した経験がありますが,この植物の興味深い生態についてはまったく知りませんでした。それを知ったのは『植物はすごい』(中公新書)を通してです。この本はぜったいにお薦めできる良書です。植物博士がわかりやすく解く草木の“スゴイ!”が満載です。ついでながら,著者は,夏休みに放送される『子ども科学電話教室』の回答者の一人でもあり,関西弁でユーモアのある解説ぶりに定評があります。

この本の中に,ラッカセイのことが簡潔に触れられています。その内容とは以下のことです。

  • ラッカセイのふるさと。(へぇー!)
  • ラッカセイの実が地上にできず,子房が伸びて地中に潜るわけ。(そうなんか!)
  • ラッカセイが自然界(原産地)で増える戦略とは。(たまげた!)

ラッカセイの生態を知ってから,私の脳裏には何だか,この植物のスゴサと人間が利用したカシコサが合わさって浮かんできます。それで,収穫のときに,この話を皆さんにさせていただいたのでした。

ただありがたくいただくのでなく,事情を知っていただくと,一味も二味も違ってくると思うのです。 

ついでながら,保護者から根に付いた根粒について質問が出てきました。これだけの根粒を見れば自ずと出てくるでしょう。豆科植物の知恵について触れておきました。直接体験を通した,こうした疑問と謎がわかったときの驚きはこころに残り続けると思われます。これが体験活動の利点でもあります。