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「ミドリ安全」が、パンプスを作っていた!

2016-02-28 19:38:35 | マーケティング

これまで穿いていた「パンプス」を穿き潰したので、新しいパンプスの購入を検討している。
実は「パンプス」という靴、なかなか選ぶのが難しい。
黒のシンプルなパンプスは、TPOを考えることなく穿くコトができるので、頻度が高い。
逆に言えば、それだけ多くの女性が普段から穿いている、ということになる。
私の場合、ワイズがD~Eと細いこともあり、市中の靴屋さんでも合うサイズがほとんどなため、ネットを利用するコトが多くなってしまう。

そこで、Amazonなどで探していたら「ミドリ安全」が、パンプスを作っているコトを知った。
Amazon:「ミドリ安全」作業 耐滑パンプス
ユーザーレビューも高く、人気のある商品だということがわかる。

ところで多くの人にとって「ミドリ安全」という会社名を聞いて、何を思い出すだろうか?
おそらく「ガッテン系」の方が穿くような作業靴とか、作業衣などを製造・販売している会社、というイメージがあると思う。
もしくは、特殊な環境で作業をする人達のための、作業衣や作業靴などではないだろうか?
それに対して、女性が穿く「パンプス」は、特別な作業をするために穿く靴ではないし、どちらかと言えば「安全」よりも「デザイン性」が、優先される靴だ。
実際、ヒールが高く、足がきれいに見える工夫がしてあるデザインの靴が多い。
それだけ「歩きにくく、歩く安全性に欠ける」という靴も多い、ということになる。
特に、雨の日の歩道などは滑りやすく、ソロソロと歩く女性の姿を見たことがあると思う。

デザイン上大きな変化がなさそうな「パンプス」であっても、「スニーカーパンプス」と呼ばれるような、軽量で歩きやすさを重視したパンプスが、最近人気になっている。
長時間窮屈なパンプスを穿いて仕事をする、というのは、働く女性にとっては「苦痛」でしかない。
そのような「苦痛」から解放する靴が「スニーカーパンプス」と呼ばれる、足を綺麗に見せながら、歩きやすさを考えたソールやヒールデザインの靴だ。

そう考えると「パンプスでも安全性と歩きやすさが必要」ということになる。
元々「安全靴」を作っている「ミドリ安全」からすれば、「(どのような環境でも)滑りにくく歩きやすい靴」というのは、得意分野だろう。
「おしゃれな婦人靴」という視点だけであれば、「ミドリ安全」はパンプスを作ることはなかったと思う。
それを「(雨などで)滑らない歩きやすい婦人靴」という視点で見たとき、初めて「婦人用耐滑パンプス」という発想が生まれ、製品化するコトができたのだと思う。

自社の「安全」という、事業の強みのキーワードから視点を変えるコトで、それまで「異業種」と思われる事業分野を取り込むコトができた、一例だと思う。