日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

地域ブランドを育てるには

2016-02-21 21:33:38 | ビジネス

今日、実家から名古屋へ戻ってきた。
帰省中、実家のテレビで見るニュースのほとんどは「ローカルニュース」になる(当たり前だが)。
もちろん、NHKの全国ニュースは放送されているので見るのだが、放送されるニュースの時間のうち全国ニュースよりもローカルニュースのほうが多いのだと、改めて気づかされた。

その中で、地元の「大山(「だいせん」と読みます)」の名前を付けた、ブランド鶏肉が偽装されていた、というニュースが随分取り上げられていた。

毎日新聞:鶏肉九州産を「大山都どり」と偽り販売

おそらくこのニュースは、偽装した企業のある京都と鳥取県で取り上げられていたくらいで、全国ニュースにはなっていないだろうな?という、気がした。
と同時に、「地域ブランドを育てる」という難しさも知ったニュースだった。

ここ数年、地方では「6次産業化」という名の元、様々な農畜産品を地元で生産・加工・販売をする動きが盛んになってきている。
そこで必要なことは「地域ブランド」だ。
実際、実家のある米子周辺では「大山」という名前を付けた様々な農畜産品が、販売されている。
ただ、今回偽装された鶏肉は、実はブロイラーで育てられた鶏肉で、おそらく一般消費者からすると九州産であっても、その味の違いなどはわからなかったでは?という、気がしている。
それだけではなく、この偽装した企業が名付けた名前であった、と聞くと「地域ブランド」ではないのでは?という、気もしてくるのだ。

おそらく地元とすれば「大山」という名前を使うのだから、「地域ブランド」として販売をしてくれている、と思っていたのだと思う。
しかし実際の生産者側が、どれだけ販売をするために関わっていたのだろうか?という、疑問を感じたのだ。
「6次産業」として、「地域ブランド」を育てるためには、生産時点で「物語性」のようなモノが必要になる。
「物語性」というと、大げさな感じがするが「どのような自然の中で、どのような思いで生産している農畜産物なのか?」という、「生産者の思い」というとわかりやすいかもしれない。
とすれば生産者側も、販売ルートそのものを他県の業者に任せるのではなく、極力地元の業者を通じて販売ルートを確保(あるいは、限定)したほうが、「品質管理」などの面でも安心ができるはずだ。それは生産者側だけではなく、そのような「地域ブランド」の商品を購入する側にとっても、安心を提供するコトができる。

もう一つは「地域ブランド」そのものを育てるのは、販売事業者ではなく生産者側にある、ということだと思う。
生産者側がいくら「地域ブランド」を立ち上げても、売れなくては意味がない、と言われるかもしれないが、生産者側が生活者側に近づくコトで、「地域」の姿は伝わりやすい。
「地域ブランド」は「商品名を売る」のではなく、その地域全体のイメージを含めた「モノ・コト」を販売することなのだ。
言い換えれば「地域を売る」コトが、「ブランドを育てる」ということに、結びつくのだ。

これまで成功している「地域ブランド」の商品というのは、これらの「物語性」や生産者側が生活者に近づくような、努力を惜しまないところが成功をしている。
「地域ブランド」を育てるのは、あくまでも生産者側とその地域全体の力なのだ。
業者任せで「地域ブランド」が、育つわけではない、ということを改めて教えてくれたニュースだった。